この夏、千葉銀行は「ちばぎん知財活用融資」の取り扱いを開始した。同行営業企画部ビジネス開発室の担当者は「これまでABL(動産・売掛金担保融資)と知財活用の2つが融資のテーマだった。ABLは業界で研究されて課題点がほぼ洗い出され、金融庁の金融検査マニュアルでの運用も明確化された。残る課題は知財活用であり、今回の知財活用融資の開発に至った」と話す。
背景には、不動産担保や過大な保証に頼る融資手法から脱却し、新たな融資手法を創り出そうという金融界の大きな流れがある。ABLの実施環境が整ったことで、次に知財活用融資に向けた取り組みが始まったわけだ。
この融資で多い誤解が、特許だけで融資を受けられると勘違いされること。現時点では通常の融資同様、企業側の経営や事業の状態、返済余力などが審査され、企業の代表者が保証人になることも求められる。
通常と異なるのは、融資を希望する企業は三菱総合研究所の「企業特許レポート」を利用することが条件となっている点だ。特許庁が公開した特許データなどから三菱総研は独自に解析した当該企業の特許リストや競合企業の情報、そして権利が有効な自社特許の経済価値などを調査する。特許の経済価値が1000万円以上あれば融資申請者となる条件を一つクリアできる。