国産の石炭「国内炭」の2014年度の生産量が131万8000トンと、06年度以来、8年ぶりの高水準に達したことが9日、分かった。原発再稼働が進まない中、石炭火力の燃料需要が高まっているためで、足元では北海道夕張市で25年ぶりに出荷が再開するなど、新しい動きも出てきた。石油や輸入石炭に取って代わられたかつてのエネルギーの「主役」に、再び注目が集まっている。
一般財団法人「石炭エネルギーセンター」の調べによると、国内炭の生産量は10年度に114万5000トンまで落ち込んだが、11年の東日本大震災後、再び増加。14年度は06年度の135万1000トンに次ぐ水準まで戻った。生産している炭鉱は北海道の8カ所のみとなる。
生産が増えているのは、主に、北海道電力の泊原発の稼働が12年に停止し、石炭火力の燃料需要が高まっているためだ。
北電では砂川、奈井江の両火力で国内炭による発電を続けており、震災後、稼働を増やした。10年度と14年度の稼働率を比べると、砂川が33%から80%に、奈井江が25%から46%に上昇。北電全体の国内炭の年間使用量は、71万トンから147万トンへと倍増した。重油を燃料とする火力も保有するが「国内炭のほうが輸送コストなどが低く、重油の火力より稼働率を増やしている」という。
国内炭は15年度も高水準の生産が続くとみられる。