旧遊郭の面影も残す「裏コリアタウン」として知られる大阪市生野区の今里新地。「日本人より在日コリアンの方が多い」と言われる地区で9月上旬、ベトナム人同士によるトラブルから同国籍の男性3人が殺傷される事件が起きた。一帯ではアパート家賃の安さや利便性の良さを理由に、語学留学生を中心にしたベトナム人のコミュニティーが急速に発展、トラブルも目立ち始めていた。「皆、悪い人とは思わないが…」。周辺住民に不安感が漂う中、ベトナム人と在日コリアンとの間には“軋轢(あつれき)”も生じつつある。インターネット上では事件を機に、過激な「移民反対論」までうずまく事態になっている。(矢田幸己)。
風俗と異国文化が同居
近鉄大阪線の今里駅から南西へ約800メートルにある今里新地。旧遊郭街の名残で、メーン通りには表向き料亭という置き屋が軒を連ねる。別の通りへ一歩足を踏み入れると、ハングルで書かれたスナックや居酒屋の看板が目に飛び込む。
風俗とコリアン文化が溶け込み、さながら昔懐かしい昭和の歓楽街といった趣が漂う。近鉄大阪線やJR大阪環状線の鶴橋駅近くの御幸通商店街など“表”のコリアタウンとは雰囲気がやや異なるディープな裏コリアタウンだ。