納税申告書に署名する姿をツイッターでアピールするトランプ氏。しかし、本選挙前には公表しない考えだ(同氏の選挙事務所提供=AP)【拡大】
米大統領選挙の共和党候補指名が確実になったドナルド・トランプ氏が税制などをめぐり政策方針を二転三転させているが、新たに、膨張する米国の債務に対する態度を急変させたことで、エコノミストらから思わぬ称賛を集めている。
伝統的ケインズ派
資産家でありビジネスマンであるトランプ氏は、米政府は低金利を活用しインフラ再建などに支出を拡大すべきだと訴える。昔ながらのケインズ派経済学者と共通の立場であり、財政タカ派からは帳尻が合わないとして批判を受けている。ポスト・ケインズ派的なトランプ氏のアプローチは財政均衡という概念を捨て、米国はデフォルト(債務不履行)とは無縁だと宣言するものだ。トランプ氏は9日、CNNとのインタビューで「米国政府なのだから、まずデフォルトになることはあり得ない。紙幣を印刷すればいいだけの話だろう」と話した。
この発言に、共和党主流派は同氏への嫌悪感を深めた。この一方で、バーニー・サンダース上院議員(民主、バーモント州)でさえ、左に行き過ぎていると考える経済学のグループからトランプ氏は新たなファンを獲得した。サンダース氏は民主社会主義者を自認している。