米国大統領選挙の投票日が8日に迫った。ヒラリー候補のメール問題が再燃し、混沌(こんとん)とした状態になっている。
メール問題再燃前の多くの世論調査では、ヒラリー候補が5ポイント程度の差を付けて優勢であった。しかし、この状態でも多くのメディアが接戦と報じており、実際の結果は蓋を開けてみないと分からない。なぜなら、近年、世論調査の結果があてにならなくなってきたのである。その代表格が英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票であり、投票日当日の世論調査の結果と現実の投票行動で異なる結果が出たからだ。
この理由としてはさまざまな要因があるが、世論調査に正しく答えない人が多いのが一番の要因であるのは間違いない。英国の国民投票の場合、メディア、特に高学歴層や有識者の間では残留の声が強かった。それに対して、インターネットでは離脱の声が圧倒的に強かったわけである。
その結果として、世論調査では無難な残留と答え、実際には離脱に投票した人が大量に発生したのだと考えられている。そして、今回の米国大統領選挙では、英国の国民投票を超える結果の差異が生じることが予想される。
米国では放送法の縛りがないため、メディアが選挙の政党や候補者の支持を明確化し報じている。特にリベラルメディアは、予備選挙から約1年間にわたりトランプ批判とネガティブキャンペーンを繰り返した。
トランプ候補に対して、人権問題や女性問題などを連日大きく取り上げ、差別主義者のレッテルを貼り、批判し続けたわけである。当然、トランプ支持を打ち出した有名人なども同様の批判を受けた。このため、人前でトランプ支持を表明しにくい状況になっているのだ。そして、これが世論調査の結果を狂わせるとみられているわけだ。