後任の人選が決まらず、暫定的に米特許商標庁長官を務めているミッシェル・リー氏(ブルームバーグ)【拡大】
米トランプ政権の高官人事が一向に進む気配がない中、グーグルなど米国で活動する61の大手企業・業界団体などは4月25日、トランプ大統領とロス商務長官に、ミッシェル・リー米特許商標庁(USPTO)長官の選任を求める連名の嘆願書を送った。リー氏はオバマ政権の高官で、後任が決まるまで暫定的に職務を遂行している。経済界は連邦最高裁判所判事に保守派のゴーサッチ連邦高裁判事が就任し、危機感を感じたようだ。
嘆願書は冒頭で米経済界の革新者、発明家、産業からとして「事業成長と雇用創出は技術、革新、知的財産にかかっている」と指摘、リー氏について「米国の発明家や事業者へ最大の経済的利益をもたらすことに尽力し、多様な利害関係者の間をバランスよく調整してきた。彼女のリーダーシップが今後も米国に莫大(ばくだい)な経済的利益をもたらすことを信じている」と締めくくっている。
リー氏に期待する説明として、知財制度の意義やUSPTOの役割、近年実現してきた政策への高い評価が述べられている。権利乱用といえるような低品質な特許権を使った訴訟戦術の横行で、雇用や製品開発に本来投入されるべき企業の資源がムダに使われてきたが、オバマ政権下で特許法が改正され、USPTOは裁判を回避しながら特許無効化を可能にする当事者系レビュー(IPR)制度の導入や新たな特許品質強化プログラム(EPQI)の試行的採用などで、訴訟の逓減や堅固な特許システムの構築を進めた。この流れをつなぐには今後もリー氏のリーダーシップが必要になるとしている。