日本の特許事務所や企業が外国へ特許出願をする際に現地代理人をどう選ぶか。ビジネスのグローバル化が進む中で、依然として残る大きな課題だ。このほど開業したグリュック(東京都港区)は、ドイツのソフトウェア会社、Practice Insight(プラクティスインサイト、ミュンヘン)と契約し、同社のツール「Filing Analytics」(ファイリングアナリティクス)を利用することで日本の特許事務所や企業の知財に関する海外ネットワーク構築支援を目指している。
社名のグリュックはドイツ語の“Gl●ck”(幸運)。「海外での活動や新しいことを始めるにはリスクが伴うが、幸運を祈ります」という意味を込めた。平沼紀明代表は「ミッションは、日本の特許事務所の国際競争力や企業のグローバルな知財業務力のパフォーマンスをアップすることだ。そのためにはデータ分析によるリスクの把握が必要だ」と熱く語る。
例えば、日本の特許事務所が日本企業から海外出願を依頼された場合、指定された国々に最適な代理人をそろえるのは至難の業だ。代理人を発見しても専門外だったり、その取引先に競合企業がいることもある。しかし日本の特許事務所も企業も、細かな分析をせずに従来の取引がある既存の代理人に依頼を投げてしまうことが少なくないという。また語学力や交渉力という壁もある。
ファイリングアナリティクスは世界33カ国の特許公報の情報を使い世界の特許出願状況を分析し、特許事務所と現地代理人の依頼関係を瞬時に表示するツールだ。