最近の流行りと言えば、「聖地巡礼」だ。「聖地」というが、そこに宗教的な意味はない。要するにアニメやドラマにゆかりのある場所を訪問することである。その様子をSNSに投稿したりもする。
この1年で話題になった聖地巡礼といえば大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』関連だ。ポスターのモデルになったという新宿四谷の須賀神社の階段や、劇中に登場する湖のモチーフとなった場所などに訪問する者が相次いだ。
コンテンツ関連だけではない。有名な芸能人の実家などは聖地巡礼スポットとなり得る。例えば、嵐の構成員であり、ここ数年、紅白歌合戦の司会をするなど大活躍している相葉雅紀の実家の中華料理屋などは聖地巡礼スポットとして人気を呼んでいる。
現地に行かなければ分からないことは確かにある。私はこれを「現地力」と呼んでいる。その場に行くと、「そりゃこんな田舎にいると、主人公は都会に出たいと思うよな」とか「この重苦しい海と空を見ていたら、暗い曲でも作りたくなるは」と理解できるものだ。
ただ、『君の名は。』だの、相葉雅紀の実家だの聞いていて、我々中年は「聖地巡礼って、そんなものか?」と言いたくなるものである。『機動戦士ガンダム』のセイラ・マス風に言うなら「この軟弱者!」と叫びたくもなる。いや、正確には中年には中年の聖地があるのだ。