「小田原かまぼこ」隣接市業者もOK、「地域に歴史的つながり」 横浜地裁小田原支部判決

 「小田原かまぼこ」の地域団体商標を保有する神奈川県小田原市の「小田原蒲鉾協同組合」が、南足柄市のかまぼこ製造業者「佐藤修商店」などが商標を無断で使用したとして、製品の販売差し止めなどを求めた訴訟の判決が24日、横浜地裁小田原支部であった。栗原洋三裁判長は「業者には不正競争の目的はない」として、業者側に先使用権があると認め、組合側の請求を棄却した。

 栗原裁判長は、江戸時代から小田原市に集中していたかまぼこ製造業者のうち、昭和になると県外に移転する業者も出てきたことなどから「『小田原かまぼこ』の『小田原』には市周辺の地域も含まれる」と認定。小田原藩の支配領域だった南足柄市は「かまぼことつながりのある市周辺地域」で、業者の名称使用に「他人の信用を利用する目的はない」と判断した。

 栗原裁判長は、判断の前提として、商品に地域名を使用できる範囲については「商品が当該地域と歴史、文化などのつながりがあるか考慮すべき」と指摘。組合側関係者によると、地域団体商標をめぐり、地域名の使用範囲に対する判断が訴訟で示されるのは初めてとみられる。

 組合側補佐人として訴訟に参加した白坂一弁理士は「組合は技術研究会や観光イベントを行いブランド構築に携わった。被告の商品はブランドに便乗する不正競争行為だ」として控訴する方針を示した。業者側代理人の小野沢庸弁護士は「主張が認められた当然の判決」としている。