母親のミトコンドリア遺伝子のみ子に伝わる原因解明 群馬大・佐藤教授ら 英科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」掲載

 群馬大の佐藤健教授(細胞構造分野)らは19日、細胞の中でエネルギーをつくる小器官「ミトコンドリア」の遺伝の仕組みについての研究結果を発表した。母親のミトコンドリアの遺伝子のみが子に伝わる母性遺伝をするのは、受精卵の中で特定の酵素とタンパク質が自食作用(オートファジー)を促し、父性ミトコンドリアが分解されるためだと解明。研究成果は同日、英科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」(電子版)に掲載された。

 父性ミトコンドリアに自食作用が働くことまでは平成23年に佐藤教授らが突き止めたが、仕組みまでは解明できていなかった。

 佐藤教授らが線虫を使って、自食の仕組みを詳細に研究したところ、特定の酵素「IKKE-1」とそれに結合するタンパク質「ALLO-1」が、父性ミトコンドリアに自食因子を引き寄せ、分解させていることがわかった。

 父性ミトコンドリアに付着した別のタンパク質が目印になっているという。

 これら父性ミトコンドリア消去の仕組みが解明されたことで、人においても、いらなくなったミトコンドリアを除去できずに生じる病気などのメカニズム解明にもつながる可能性があるとしている。