いなげや過労死、慰謝料求め提訴 「遺族と向き合わない会社に憤り」

 スーパー大手「いなげや」の志木柏町店(埼玉県志木市)の男性社員=当時(42)=が過労死した事件で男性の両親が27日、会社側に慰謝料など約1億655万円を求めて東京地裁に提訴した。いなげやでは平成15年にも20代男性が過労自殺しており、遺族側はサービス残業の実態調査や再発防止策を求めて会社側と話し合いを希望したが、満足な回答が得られず提訴したという。

 訴状などによると、男性は23年から志木柏町店で働き、食料品の発注や棚卸しを行うチーフをしていた。26年5月25日、勤務中にろれつが回らなくなり入院。6月2日に仕事に復帰したが、3日後に勤務終了後に店舗駐車場で倒れているところを客に発見され、同月21日に死亡した。

 同店ではサービス残業が常態化しており、さいたま労働基準監督署は28年6月、日時が特定できない労働や早朝、深夜の不規則な勤務があったとして過労死を認めた。

 提訴に当たり、両親は「労災が認められても遺族と向き合ってくれない会社の対応に憤りをもっている」とコメント。いなげやは「訴状内容を確認していないので、コメントは控えたい」としている。