【生かせ!知財ビジネス】中小企業の特許料一律半減案、国会へ

東京・霞が関の特許庁。中小企業の知財力強化へ向け特許庁が動き始めている
東京・霞が関の特許庁。中小企業の知財力強化へ向け特許庁が動き始めている【拡大】

 特許庁は中小企業の審査請求料、特許料(1~10年分)、国際出願手数料を一律半減とするための特許法改正案を今国会で上程する。特許制度小委員会などで論議を進め、パブリックコメントの募集も完了。改正案の3月中の成立と早ければ4月からの施行を目指している。

 特許出願件数に占める中小企業比率は現在、わずか15%。特許1件でも出願から10年間維持するコストは30万円以上になる。国際出願を加えると中小企業にとっては重い負担だ。一律半減が実現すれば、中小企業の出願件数増加が期待できる。特にイノベーション活動に積極的な研究開発型中小企業やベンチャーにとっては事業成長の源泉となる知財固め、知財投資がしやすくなる。中小企業の投資価値向上にもつながる。

 実は特許庁はかねてから、中小企業支援で減免制度を設けてきた。対象要件が限定的な上に手続きが煩雑だったため、特許出願を行う中小企業のうち減免制度を利用しているのは3分の1程度だった。今回は、対象要件を全中小企業とし、手続きも大幅に簡素化する方針だ。

 一律半減を中小企業が積極的に活用すれば、特許庁の歳入減につながる可能性がある。特許庁幹部は「減収分をカバーするため特許料などの若干の値上げが必要になるだろう」と話す。特許特別会計の2018年度歳入予定額は2727億円、歳出予定額は1552億円。歳入のうち特許料等収入が1237億円、前年度剰余金が1479億円ある。

 一見、豊富な前年度剰余金だが、庁内システム開発や本庁舎改修などで取り崩しを進める予定だ。結果的には特許出願件数の85%を占める大企業の負担が増える。別の幹部は「現在、経済団体や知財団体から反対論は出ていないが、理解を得られれば」と話した。

 近年、アジア諸国で知財制度の導入が進められ、その流れはアフリカ諸国へも広がっている。特許庁は2月22、23日に都内で、新興国の知財制度整備や人材育成のために実施してきたWIPOジャパン・トラスト・ファンド事業の30周年を記念し、新興国など50カ国の特許庁首脳を招いて国際フォーラムを開催する。新興国の企業が特許権を獲得・維持し、活用する時代が着々と近づいている。日本企業の99%を占める中小企業が今年、知財に目覚め、一律半減を活用して知財武装を本格的に始めることを祈りたい。(知財情報&戦略システム 中岡浩)