年俸制で働いていた医師の男性が、残業代に未払いがあるとして、病院を運営する神奈川県内の法人に計725万円の支払いを求めた訴訟の差し戻し控訴審判決で、東京高裁は22日、制裁に当たる「付加金」を含め、計546万円の支払いを法人に命じた。
1、2審は医師の職業上の特性から「年俸に残業代を含む」としていたが、最高裁が昨年7月、「時間外賃金は通常の賃金と明確に区別できなければならず、含まない」と判断し、審理を高裁に差し戻していた。
高裁の白石史子裁判長は最高裁判決を踏まえ、年俸に残業代は含まれていないと指摘。未払い分を273万円と算定した。病院側は「男性の労働時間を知る余地がなく、悪質とは言えない」と主張したが、判決は「労働時間を管理していないのは病院側の事情にすぎない」と退けた。
判決によると、男性は平成24年4月、病院側と年俸1700万円の雇用契約を結び、午後5時半~9時に残業をしても賃金は年俸に含むと合意していた。