「五輪に殺される」会場のスキー場貸し切りなのに休業補償なし 用具レンタル店が断末魔 (1/2ページ)

五輪会場のフェニックス・スノーパーク前に掲げられた横断幕。「平昌五輪に殺される」と書かれている=13日、韓国・平昌(桑村朋撮影)
五輪会場のフェニックス・スノーパーク前に掲げられた横断幕。「平昌五輪に殺される」と書かれている=13日、韓国・平昌(桑村朋撮影)【拡大】

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪の会場周辺にあるスキー・スノーボード用具のレンタル店が、存続の危機に直面している。五輪組織委員会は開幕前から会場のスキー場を貸し切っており一般客の利用がないのに、国や行政からの「休業補償」が一切ないためだ。中には全体の7割が閉店を余儀なくされたところもあり、店主らでつくる地元協会が五輪組織委と地元自治体を相手取り、補償を求めて訴訟を起こした。

 「スキー場が閉鎖されて客が来ない。五輪で使わないコースも全てだ」

 モーグルやスノーボード競技の会場となっている平昌のフェニックス・スノーパーク前に掲げられた、「平昌五輪に殺される」と書かれた横断幕。近くの仮設テントにいた地元のレンタル店でつくる「フェニックスレンタルショップ協会」のイム・ジョンチェン代表(48)は、こう吐き捨てた。

 ホームページによると、同パークは21のコースを備えた広大なゲレンデで、今回の五輪ではフリースタイルスキー5種目(モーグル、エアリアル、ハーフパイプ、スキークロスなど)とスノーボード4種目(パラレル大回転、スロープスタイルなど)を実施。中には使用しないコースもあるが、五輪開幕の約3週間前から全コースが閉鎖されている。

 当然、周辺のレンタル店を訪れる客はおらず、イム代表の店の売り上げは昨年比で約8割減少したが、国や五輪組織委からは休業中の補償はない。他の店も厳しい経営が続き、昨シーズンまで70店以上あったレンタル店の多くが店を閉めたため、同協会の加盟店は22店にまで減った。

「地元の人間の生存権を無視するのはおかしい」