ホーキング博士死去 根源に迫る仮説続々


【拡大】

 宇宙はなぜ、どのように生まれたのか。ホーキング氏はこの根源的な問いに挑み、重力や時空に関する一般相対性理論や極微の世界で起きる現象を説明する量子力学を駆使して、アインシュタイン以後の宇宙論の発展に大きく貢献した。

 宇宙には大きさがゼロで密度が無限大の「特異点」が存在するという特異点定理を1960年代に発表。相対論では説明できず、量子力学と合わせて理解する必要性を示し衝撃を与えた。これが宇宙の始まりやブラックホールの仕組みの解明につながると主張した。

 74年には「ホーキング放射」と呼ばれる理論を提唱。ブラックホールは非常に強い重力を持ち、あらゆる物をのみ込むと考えられているが、周囲にのみ込む物がない状態では、逆にエネルギーを放出して蒸発するという仮説だ。

 名古屋大の杉山直教授は「いずれも常識を超える理論で宇宙の根本に迫るだけに検証が難しいが、間違いなくノーベル賞に匹敵する仕事をした」と話す。

 米航空宇宙局(NASA)はツイッターで「数々の理論は膨大な可能性への扉を開いてくれた。われわれ、そして世界はその可能性を探検し続けていく」と悼んだ。