印パ不仲「嫌がらせ」の応酬 外交官対象に迷惑電話や尾行

 インドとパキスタンの近年の関係悪化が、両国の外交官などを対象とした嫌がらせの応酬につながっている。夜中に玄関ベルを鳴らして逃げる、迷惑電話をかける、水道や電気を止めるといった、近隣住民同士のトラブルのような迷惑行為が報告されている。

 両国は1947年の分離独立以来、3度の戦争を経験した。かつては和平協議も持たれたにもかかわらず、関係修復の試みは実を結んでいない。事実上の国境のあるカシミール地方では今も紛争が絶えず、インドはパキスタンの越境攻撃を非難し、パキスタンは同地方でのインド治安当局による人権侵害への批判を繰り返し表明している。

 最近になり、両国の当局は、自国の外交関係者を標的にした組織的な嫌がらせに相手国が関与していると主張している。インドの外交官として、パキスタンの首都イスラマバードに駐在していたビシュヌ・プラカシュ氏は「夜中にドアホンを鳴らしたり、後をつけるのは常套(じょうとう)手段。パキスタンの軍情報機関の人間が車で私の後をつけ、私が医者にかかったときは外で盗み聞きをしていた」と振り返る。

 3月にもニューデリー在勤のパキスタン当局者が、嫌がらせに対する苦情をインドの外務省に申し立てた。運転手が妨害されたり、子供が後をつけられて脅されたりしたという。別の当局者が執拗(しつよう)に尾行されたり、タクシーから無理やり降ろされてののしられたケースもあった。

 パキスタン外務省は「子供すら標的とした卑劣な行為に対し、インド政府が無関心で歯止めをかけなかったという事実は、国内で働く外交関係者を守る能力も意思もないことを示している」と批判した。

 インド外務省の広報担当は、申し立て内容を精査中だと述べる半面、「イスラマバードにいるインド関係者にもトラブルが続出しているが、数カ月間も解決していない」と反論した。

 インドとパキスタン両国はこれまでも、たびたび問題を起こしたとして互いの外交官を連行している。時には当局者をスパイ容疑で追放することもあった。(ブルームバーグ Iain Marlow)