取得したデータはスマホからインターネット上のクラウドサーバーに送信。登山者にはビーコンごとにネットアドレスを割り当て、本人が自分のスマホなどから位置情報のほかに天気予報や気温、山頂の混雑状況などを確認できる。アドレスを自宅の家族らに伝えておけば、離れた場所とも情報共有が可能だ。
今回のシステムが実用化されれば、災害発生時の登山者数やポイント間に取り残された人数をリアルタイムで把握できるほか、登山者自身が救助を要請する場合に現在地の特定にもつなげやすくなる。
これまでにモニターになった登山者は計約3千人に上っており、「ビーコンを持って登るだけなので手軽」「アドレスを家族に送ったところ、安心と言っていた」などおおむね好評。外国人登山者からは「サービスを購入したい」という声もあったという。
プロジェクトではレーザー計測器で登山道の詳細な地形を測量し、3D画像化している。ビーコン情報と組み合わせれば、登山者数による道の荒れ具合も把握できるようになり、適切な維持管理につなげられる。
田中さんは「ビーコン情報を使えば登山者の位置を絞り込むことが可能になる。登山者の料金負担など検討材料はあるが、登山者の安全を守ること以外にも活用方法を広げられる。行政など関係機関との調整を進めていきたい」と話している。