府警は平成28年12月にも市内の民泊で詐欺集団を摘発。こちらはアダルトサイト未納料金名目の架空請求詐欺だった。
捜査関係者は「民泊は手続きが容易で宿泊費も安く、すぐに退去できる。そのうえ不特定多数の人物が出入りしても近所から怪しまれにくい。詐欺集団にとってはそれが利点」と指摘する。
詐欺だけではない。大阪市東成区では2月、民泊のマンション一室で、兵庫県三田市の20代女性の切断遺体が見つかった。米国籍の20代男が逮捕され、神戸地検に傷害致死などの罪で起訴されている。
29年11月には、大阪府守口市の民泊で室内に隠しカメラを仕掛けて盗撮したとして、大阪府警が旅館業法違反と軽犯罪法違反の容疑で運営者の40代男を書類送検。男は府警の調べに「当初から盗撮目的だった」と供述した。
「デメリット分析を」
大阪観光局の推計によると、29年に大阪を訪れた外国人は約1111万人で、23年の約158万人から7倍に急増。民泊は宿泊需要の受け皿として期待されており、市内では特区民泊が733施設(5月末現在)、民泊新法に基づく民泊が93施設(6月14日現在)に上る。
大阪市は来年6月開催のG20に向けて府と連携し、市職員や府警OBらでつくる「違法民泊撲滅チーム」を設置した。今後はこのチームを中心に、民泊が犯罪に悪用されないか監視の目を光らせることになる。
青森中央学院大大学院の大泉光一教授(危機管理論)は「多数の従業員が宿泊客と接触するホテルなどに比べ、民泊は監視の目が届きにくい。家主不在型であれば、誰が出入りしてもトラブルが起きない限り表面化しない。東京五輪も控える中、危機管理の観点から民泊のデメリットを真剣に分析するべきだ」と話している。