狙われた建設業界の「一人親方」 チェック甘い労災保険制度につけ込む手口とは (2/3ページ)


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 一人親方は両者の中間の職位に位置づけられ、一定の技術と経験を身につけて独り立ちしながらも、親方として見習いの労働者を雇い入れることもない立場。

 個人事業主として独立してはいるが、労働災害に遭う危険性は一般の労働者と変わらないという微妙な立場でもあるため、「仕事中のけがや病気で働けなくなった労働者のために休業補償を支給する労災に、特別に加入できる制度が設けられている」(建設業界関係者)とされる。

 一人親方は保険組合などを通じて個人で労災申請するため、不正に対するチェックが及びにくい。男は一人親方が抱えるそうした“特殊事情”に目をつけた。

 ノウハウ伝授? “協力者”の存在

 捜査関係者によると、平成26年4月上旬、当時無職だった男は他人になりすましたうえで一人親方として「東京土建一般労働組合」に加盟。同組合を通じて労災保険に加入した。

 そして、東京都内の病院を訪れて診察した医師にこう訴えたという。

 「足場から落ちて全身を打ち付けた」

 さらにありもしない事故の状況について、「クレーン車での作業中、ぬれた足場から足を踏み外して3.5メートルの高さから転落した」などと説明。医師をだますことに成功し、「けがのために働けなくなった」とする労災認定に必要な診断書を手に入れた。

 その後、男は組合を通じて、渋谷区の労働基準監督署に休業補償給付のために必要な請求書などを提出。5カ月間にわたって休業補償給付の不正受給を続けた。

警察幹部も警鐘を鳴らす