“プラモの聖地”岡山の「エラヤ」閉店へ 豪雨で数十万点浸水、再建へ目処たたず (2/3ページ)

水没商品の9割引セールを行う玩具店「エラヤ」を訪れたプラモデルファンら=8日、岡山県倉敷市真備町(寺口純平撮影)
水没商品の9割引セールを行う玩具店「エラヤ」を訪れたプラモデルファンら=8日、岡山県倉敷市真備町(寺口純平撮影)【拡大】

 同店は昭和63年にオープン。当初は子供向けの玩具店だったが、団迫さんの趣味や常連客の要望もあり、徐々に玄人向けの品を集め始めた。スズキの人気バイク「カタナ」の西部警察バージョンの完成プラモ(12万8千円相当)や、「陸上自衛隊10式戦車」(4万6千円相当)も。そして2年前、テレビ番組のロケで石坂さんが訪れたことで、プラモの聖地として知る人ぞ知る店となったという。

 その名店も水害に襲われた。7月9日に店の状況を見に来た団迫さんが入り口のシャッターをこじ開けると、泥をかぶって散乱した箱が壁のように立ちふさがった。「ファンにとっては一緒に飾る箱も重要。もうどうしようもない」。団迫さんは言葉を失った。

 エラヤの浸水被害を知った常連客が週末に駆けつけた。義援金を持ってきた客もいたが断った。「どうしてもというのなら、店の商品を買っていってほしい」と定価の1割で販売するセールを始めた。それが商売人としての矜持(きょうじ)だった。クラウドファンディングも提案されたが、被害総額は1億円以上。年齢も考慮し、閉店を決めた。

「この店をかわいがってくれていた人の手に」