≪図分子蛍光ラベル化率の評価法≫カバーガラスを一定密度の基質(ビオチン結合性タンパク質アビジン)でコートし、蛍光ラベル化およびビオチン化したタンパク質を固着化させて、1分子蛍光測定を行う。100%蛍光ラベル化率のポジティブコントロール(CTRL+)にはビオチン化蛍光分子を用い、0%蛍光ラベル化率のネガティブコントロール(CTRL-)には、未処理のカバーガラスに試料を反応させたものを用いた。これらの蛍光スポットの数から蛍光ラベル化率を決定する。図の例では、(20-3)/23X100≒74%となる。
≪図分子蛍光ラベル化率の評価法≫カバーガラスを一定密度の基質(ビオチン結合性タンパク質アビジン)でコートし、蛍光ラベル化およびビオチン化したタンパク質を固着化させて、1分子蛍光測定を行う。100%蛍光ラベル化率のポジティブコントロール(CTRL+)にはビオチン化蛍光分子を用い、0%蛍光ラベル化率のネガティブコントロール(CTRL-)には、未処理のカバーガラスに試料を反応させたものを用いた。これらの蛍光スポットの数から蛍光ラベル化率を決定する。図の例では、(20-3)/23X100≒74%となる。【拡大】

  • 谷口雄一氏
  • ≪図銅キューブ粒子のX線回折パターンと推定された成長過程≫(左)一辺が約500nmの銅キューブ粒子1個からの回折パターンと、そのパターンに位相回復アルゴリズムを適用することによって得られた投影内部構造(差し込み図)。青→緑→黄→赤→白順に内部の密度が高くなる。(右)銅キューブ粒子は、その外形がキューブ形状へ成長すると同時に、内部構造は高密度領域(灰)を中心に非一様に成長していき、キューブ形状の外壁が完成すると、成長核となる界面活性剤と銅粒子の複合体は外に出ることができず、内部構造は密度分布に偏りを持ったまま成長が止まると考えられる。その結果、上図のような投影電子密度が観察される。
  • 中迫雅由氏

 □理化学研究所 生命機能科学研究センター 細胞システム制御学研究ユニット ユニットリーダー・谷口雄一

 ■細胞中のタンパク質を全部光らせる

 生体内で起こる疾病や、細胞の分化状態などを精密に探る方法の一つに「プロテオーム解析」がある。プロテオームとはタンパク質の総体のことで、プロテオーム解析では、生体内に存在する数千から数万種類のタンパク質を網羅的に測定した大規模データを用いて、多角的な観点から生体状態の分析・診断を行う。しかし、この解析に一般的に用いられている測定法(二次元電気泳動法、質量分析法)は、分析や装置のコストが高く、解析にも時間を要し、感度も限られているという課題があった。

 今回、理研を中心とした国際共同研究チームは、超高感度(単一分子感度)・低コストでのプロテオーム解析を目指し、細胞の中にあるほぼ全ての種類のタンパク質を蛍光色素でラベル化する「標識法」を開発した。さらに、蛍光分子1個が出す光を顕微鏡観察することができる高感度蛍光観察技術である「1分子蛍光イメージング法」を応用したラベル化率の「評価法」を開発した。本法をヒト培養細胞に適用したところ、さまざまな大きさのタンパク質を50~90%の高効率で蛍光ラベルできることを確認した。

 本研究成果は、蛍光イメージングによる超高感度のプロテオーム解析を実現し、タンパク質の異常を伴う疾患の超早期診断や未知のバイオマーカーの発見に貢献すると期待できる。

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【プロフィル】谷口雄一

 たにぐち・ゆういち 2006年大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。米国Harvard大学ポストドクトラルフェローを経て、2011年6月から現職。また同年から大阪大学大学院生命機能研究科招へい准教授を兼任。専門分野は、生物物理学、システム生物学、ナノバイオロジー。

 ■コメント=生命活動の本質を理解するための画期的技術を開発し、人々の疾病克服、健康増進に役立てたい。

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 □理化学研究所 放射光科学研究センター 利用システム開発研究部門 生物系ビームライン基盤グループ 生命系放射光利用システム開発チーム 客員主管研究員・中迫雅由

 ■SACLAにより銅キューブ粒子の内部構造変化を可視化

 サブマイクロメートルサイズ(1000万分の1メートルのオーダー)の「ナノ粒子」の物性は、イメージング技術、新しいフォトニック材料、医工学などの分野において技術革新をもたらす可能性があり、応用研究が進められている。応用研究では、ナノ粒子の形状・サイズ・内部構造を制御する必要があり、それらを観察することが重要である。しかし、形状・サイズは、電子顕微鏡で観察できるが、内部構造を観察する測定手法はこれまでなかった。

 今回、理研を中心とした共同研究チームは、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」で得られる集光ミラーで強度が増強されたXFELパルスを用いた「X線回折イメージング法」によって、金属ナノ粒子の一つである「銅キューブ粒子」1637個の内部構造を可視化することに成功した。その結果、これまで一様だと考えられていた内部構造に大きな偏りがあることを見いだした。さらに、得られた多数の内部構造に対して、「統計解析」および分布の特徴を数学的手法により解析する「マニフォールド解析」を行うことで、粒子の成長過程に伴う内部構造の変化を明らかにした。すなわち、銅キューブ粒子は、その外壁がキューブ状へ成長すると同時に、内部構造は高密度領域を中心に非一様に成長していた。

 本研究成果は、これまで手探りと経験則で行われてきたナノ粒子作製方法に、新たな基軸と展開を与えるものと期待できる。

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【プロフィル】中迫雅由

 なかさこ・まさよし 東北大学大学院理学研究科物理学第二専攻博士課程単位取得退学。理学博士。東京大学薬学部助手、理化学研究所研究員、東京大学分子細胞生物学研究所講師、慶應義塾大学理工学部物理学科助教授を経て2005年から同教授。

 ■コメント=放射光やX線自由電子レーザーを用いた細胞のX線イメージングに取り組んでいます。

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 ■理化学研究所が第40回科学講演会を東京で開催

 毎年、理化学研究所は研究活動を紹介する機会として科学講演会を開催している。第40回となる今年は、松本紘理事長による特別講演に続き、シミュレーションと実測データを融合する「データ同化」という科学分野でゲリラ豪雨予測などに挑む研究と、「植物の再生現象の分子機構の解明」とより効率的な再生技術の開発を目指す研究を紹介。さらに、器官のもととなる「器官原基」を再生する技術を利用した「器官再生医療」の研究戦略と進展に加え、最近開発ステージに移行した「毛包器官再生医療」についても講演する。そのほか、科学の面白さを伝える「科学道100冊」、「科学道100冊ジュニア」展や、理研グッズ販売も同時開催する。入場無料。

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 ◇日時 11月3日(祝・土) 13:30~16:45(12:40開場)

 ◇会場 丸ビルホール 東京都千代田区丸の内2-4-1丸ビル7階

 http://www.marunouchi-hc.jp/hc-marubiru/access.html

 ◇定員 400人(事前申込制・先着順)

 ◇詳しいプログラム、申込フォームは以下のURLを参照

 http://www.riken.jp/pr/events/events/20181103/

 ◇問い合わせ 理化学研究所 広報室(電)048・467・9443(直通)

 E-mail:event-koho@riken.jp