海底5千メートルで「南海トラフ地震」に迫る、探査船「ちきゅう」岩石を掘削

 繰り返す海の巨大地震の仕組みを調べようと、海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」が、南海トラフ沿いの地下深部にあるプレート境界から岩石を入手する計画を進めている。掘削地点は紀伊半島沖約80キロで、海底下約5200メートルを目指して平成19年から掘り始めた。10月からの航海でゴールに届きそうだ。

海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」(同機構提供)

海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」(同機構提供)

 南海トラフでは陸のプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでおり、境界が滑ると昭和19年の東南海地震や21年の南海地震のような巨大地震を引き起こす。境界の岩石の成分や性質を詳しく調べると、現在の滑りやすさを計算できるという。計画には15カ国の研究者が参加する。

 チームの木下正高東京大教授(海洋底地球物理学)は「南海トラフが今どうなっているのかの研究がここから始まる」と意気込む。

 人工ダイヤモンドのドリルで、海底下からこれまでに深さ約3千メートルまで掘り進んだ。プレート境界に達すれば、長さ50メートル分の岩石を2本採取する。

掘削に使うドリル(海洋研究開発機構提供)

掘削に使うドリル(海洋研究開発機構提供)

 航海は来年3月まで。黒潮の流れによっては掘削海域でも潮の流れが速くなって影響が出る恐れがある。台風などの悪天候も懸念材料だ。海洋機構の江口暢久・科学支援部部長は「プレート境界の中で唯一、今の技術で届く深さにあるポイントだ。非常に重要なチャレンジとなる」と話す。