対中緊張 米政府の親台派に追い風 (1/2ページ)

6月、米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所の新庁舎の落成式であいさつした蔡英文総統(ブルームバーグ)
6月、米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所の新庁舎の落成式であいさつした蔡英文総統(ブルームバーグ)【拡大】

 貿易や南シナ海問題、最近の武器売却をめぐる米中間の緊張の高まりは台湾を米国の外交政策の焦点に押し上げており、中国政府はいらだちを募らせている。

 就任前の米トランプ大統領と異例の電話会談を行った台湾の蔡英文総統は、最近の中国との対立の中で米国を味方につけている。それは米大統領府や国務省、国防総省内部の長年の親台湾派勢力の存在が大きい。ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)もその一人だ。

軍艦派遣求める声

 「中華民国(台湾)は長い歴史の中で、今ほど米政府高官を味方につけたことはなかった」と、米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)でアジア安全保障問題を専門とするニコラス・エーバーシュタット氏は話す。「同時に明らかなのは、米政権がさまざまな面で中国に対抗姿勢を示していくだろうということだ」

 トランプ政権がどこまで台湾を支援するつもりかは明らかでないものの、中国が「核心的利益」と位置付ける台湾は、中国に影響力を行使する上で重要なポイントであるとの認識が一層高まっている。複数の米政府関係者によると、ボルトン氏が統括する国家安全保障会議(NSC)内には台湾海峡への積極的な軍艦派遣などさらなる強硬路線を求める一派もいる。もっともこれには、トランプ大統領とペンス副大統領は慎重な姿勢を示している。

 台湾の扱いをめぐる問題が1960年にケネディ氏対ニクソン氏の米大統領選テレビ討論会で論じられてから、数十年がたつ。米国は79年に中華民国と国交を断絶した。しかし貿易や安全保障をめぐって米中関係が悪化する中、台湾は世界での影響力拡大を目指す中国の取り組みを後退させる新たな機会を得ている。

 中国政府にとって台湾は最重要課題だ。そのため、トランプ氏が蔡氏との電話会談に応じたことは中国に衝撃を与えた。トランプ氏のこの動きは、米中国交回復の基盤である「一つの中国」政策を米国が今も尊重しているのかとの疑問を提起した。当時のオバマ大統領は、「この理解を覆そうとすればどんな結果になるか熟慮しなければいけない」と次期大統領を批判した。

 トランプ氏はその後、米国が「一つの中国」を支持することを約束したが、米政府は歴代政権に倣って台湾への武器売却方針を変えていない。台湾の命運は中国政府との対立激化に備えた大規模な米軍再編に委ねられるだろうとの明確な姿勢を示している。

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