香港・ランタオ島 ハウスボート居住者に退去命令 (1/2ページ)

ハウスボートで暮らすケイシー・キーファスさん夫妻(ブルームバーグ)
ハウスボートで暮らすケイシー・キーファスさん夫妻(ブルームバーグ)【拡大】

 香港・ランタオ島のディスカバリーベイ地域の港で、船(ハウスボート)に暮らす約180世帯は大きな揺れに見舞われている。といっても、毎年この時期に香港を襲う台風のせいではない。

 ハウスボート居住者を襲ったのは予想外の退去命令で、年末までに船を移転するよう迫られている。この現場であるヨットクラブ、ディスカバリーベイ・マリーナ・クラブ(DBMC)は9月の声明で、「香港のレジャー用船舶に対して高まるニーズに対応する大規模な改修工事を行うため閉鎖されることになる」と説明した。再オープンの日程は発表されていない。

住居探し余儀なく

 香港の他の港にはハウスボートを受け入れられる空きはないに等しく、船を売却する選択肢も現実的ではない。そのためハウスボート居住者らは、住宅価格が世界で最も高い香港で代替的な住居を探すという困難な課題に直面している。この地域では全長60フィート(約18メートル)のボートと同程度の広さを持つ集合住宅の価格は約3000万香港ドル(約4億3300万円)と、富裕層以外には手の届かない水準に達している。

 ハウスボート居住者には別の痛手もある。DBMCの港に係留するには債券を購入する必要があり、これは事実上の許可証で通常はボートとともに売買されるものだが、DBMCが発行した全ての社債は年末に額面価格で償還される予定となっている。この社債券なしでは、ボートの価値は激減する。

 「この港にはパイロットや弁護士、医師らが大勢住んでいる」と、5年前からDBMCに係留する船で暮らすニュージーランド出身のケイシー・キーファス氏は話す。「2018年に立ち退きを命じられるのを知っていたら、ここは今ごろ空っぽだっただろう」

 香港島や九龍半島をはじめとする260以上の周辺諸島から成る香港は人口過密で知られ、それは水上にまで及んでいる。数少ない他の港は満杯状態にある。台風用の避難港に移る手もあるが、そこでは水や電気を利用できない。

 香港において、水上で生活することは高層ビル群に囲まれた都市生活とは別の選択肢を求める人々を長年引き付けてきた。一部の企業は債務証書の購入を融資したり、ボート購入用ローンを提供したりしている。

 ハウスボートは費用面で優れている。所有者はヨットクラブの会費や60フィートの船で月2万4000香港ドルほどの停泊料を支払う必要があるものの、ディスカバリーベイ地域で総床面積2000平方フィート以上の住居を借りるには月4万2000~15万香港ドルかかると、香港の不動産検索サイト、ゴーホーム・ドット・コムのデータは示している。

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