台北市長、台湾は「米国向けの陳列商品」

台北市の繁華街、西門町(ブルームバーグ)
台北市の繁華街、西門町(ブルームバーグ)【拡大】

 台湾はトランプ米大統領にとってもっと価値ある存在となるよう努力し、米中の権力闘争の持ち駒としての立場を自覚しなければならない-。こう語るのは台湾・台北市長の柯(か)文哲氏だ。

 歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで知られる元外科医の柯氏はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、台湾は巨大な隣人である中国からの攻撃に対し台湾防衛に乗り出そうとする米国の意志を過大評価すべきでなく、民主主義や経済の透明性といった共通の価値観の強化によって、米国に対する自国の価値を高める必要があるとの見解を示した。「台湾は陳列された商品にすぎない。われわれは自己理解を明確にしなくてはならない」と同氏は述べた。

 柯氏は2014年に無所属で出馬した台北市長選に勝利して以来、率直な発言から台湾で最も人気のある政治家の一人となっている。今月24日の統一地方選挙で再選を果たせば次期総統選の有力候補になるとも目されており、自身も出馬にたびたび意欲を示してきた。

 「時期が来れば、私たちはその橋を渡るだろう」と語る柯氏はマルクス主義革命家、チェ・ゲバラを英雄視する一方、台湾の政治家たちを「嘘つき、詐欺師」と呼ぶ。

 柯氏は自らの政治的成功について、統一中国の正当な支配者を主張する中国国民党と、台湾独立を目指す民主進歩党という2大政党とは異なる選択肢を提供したためだと分析する。市政においては、座席数4万の台北ドームの建設中断を命じるなどの刷新を図っている。

 柯氏は統一地方選で、2大政党の擁立する候補者と対峙(たいじ)する。現地テレビ局TVBSの9月の世論調査によれば、柯氏の支持率は国民党の丁守中氏を5ポイント、民進党の姚文智氏を26ポイントそれぞれリードしている。

 70年近く前に国民党政府が台湾に逃れて以降、同地は米中の板挟みとなり、トランプ氏の対中貿易戦争が激化する中で火種として再浮上している。最近の米国は蔡英文政権との政治的・軍事的な関係強化に乗り出しており、中国からの反発を招いている。

 統一地方選では、柯氏が若年層からの支持を得票数に反映できるかどうかが示される。同氏は台湾の力の源泉は「開放性」や「自由」であるとし、その証しとして、毎年台北で開かれるLGBTパレードを挙げた。「こうしたイベントは自由な雰囲気を象徴するものだ。台北の持つ多様性は、他の国に行ってみたら分かるだろう」と語った。(ブルームバーグ Samson Ellis、Miaojung Lin)