オランダ生まれ、ベルギー育ち 日本大好きの醸造家が生んだ定番「生(いき)ビール」とは (1/3ページ)

 ▼オランダで和食レストランの開店ラッシュ

 近年オランダでは、インドネシアが植民地だった時代から人気の高かった「インドネシア・中華料理」のレストランを経営していた中国系のオーナーたちが、バタバタと日本食レストランに看板を掛け替えている。おおむねディナータイム20~30ユーロでオーダー式食べ放題、寿司をメインとしたメニューの中から1人5品を10分に一度5回までオーダーできる、というような形式だ。和食ブームで注目は確実、高級感で客単価を上げることが容易なうえビュッフェ形式が多かったインドネシア料理店よりもロスが少なく、ビジネスとしての人気もうなずける。

 ▼オランダ人ならだれもが知っている「日本の」ビール

和食・フュージョン系レストランには欠かせない(公式Facebookページより)

和食・フュージョン系レストランには欠かせない(公式Facebookページより)

 さて本題だが、そういった店のメニューに必ず載っている定番の「日本のビール」が「生(いき)ビール」である。瓶に大きく書いてある「生」の漢字と相まって日本人は「なまビール」かと思ってしまうが、そうではなく「生(いき)ビール」という名のブランドなのだ。2007年にイギリスで最も革新的な食品系新製品に贈られるIFEアワードを受賞し、発売から10年以上を経てビールの国オランダにおいてすっかり定番化しているこのビールは、緑茶をベースにゆずや生姜などの和食材フレーバーを効かせた、化学物質・添加物なし、100%オーガニックのエール。オランダではみな日本のビールだと思って飲んでいるが、実はオランダ人の開発者が日本で着想を得て、ベルギーで醸造している正真正銘ヨーロッパのビールである。

 現在国民的ビールのハイネケン社が販売権を持ち、新フレーバーの開発には国内で数少ない3つ星シェフが協力する、押しも押されもせぬビッグネームとなっている。謎多き「日本の」ビールは、いかにして「新製品の定着率5%」といわれるオランダビール市場で地位を確立したのか。創業者のアーイェン・ヘイムラーさんに聞いた。

 --現在、何か国で販売していますか。

 ヘイムラーさん:ヨーロッパの全ての国で販売しています。アジアでは今のところ台湾のみ。残念ながら日本ではまだビジネスパートナーが見つかっておりません。

 --ビジネス成功の秘訣は?

何はともあれ