徴用工、三菱重にも賠償命令 韓国最高裁判決、敗訴が確定

訴えが認められ、韓国最高裁前で喜ぶ原告ら=29日、ソウル(AP)
訴えが認められ、韓国最高裁前で喜ぶ原告ら=29日、ソウル(AP)【拡大】

 韓国最高裁は29日、太平洋戦争中に三菱重工業に動員され、徴用工だったと主張する韓国人5人の遺族と、いわゆる朝鮮女子勤労挺身隊員の韓国人女性ら5人が同社を相手に損害賠償を求めた2件の訴訟の上告審で、いずれも賠償支払いを命じた2審判決を支持し三菱側の上告を棄却、同社の敗訴が確定した。

 韓国最高裁は10月30日、新日鉄住金(旧新日本製鉄)に元徴用工らへの賠償を命じる確定判決を出している。これと同様の判断で、植民地支配が原因で生じた韓国人の被害に基づく賠償請求権は消滅しておらず、日本企業に支払い責任があるとする韓国司法の判断は定着した。

 日本政府は1965年の日韓請求権協定で、韓国人の個人請求権問題は解決済みとの立場で、判決に反発。秋葉剛男外務事務次官は29日、韓国の李洙勲駐日大使を外務省に呼び抗議した。河野太郎外相は「極めて遺憾だ。断じて受け入れられない」との談話を出し、韓国政府が直ちに措置を講じなければ、国際裁判や対抗措置も含めた対応を取ると主張した。(ソウル 共同)

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 ■「極めて遺憾」

 三菱重工業は29日、いわゆる韓国人徴用工の遺族らが同社を相手に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、韓国最高裁が原告の請求を認める確定判決を出したことに関し、「日韓請求権協定およびこれに関する日本政府の見解並びに日本の確定判決に反するもので、極めて遺憾だ」とするコメントを発表した。

 同社は、今後については「日本政府とも連絡を取りつつ、適切に対応していく」としている。

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【用語解説】徴用工と女子勤労挺身隊

 日本は戦時中の1939年に国家総動員法に基づく国民徴用令を出し、植民地だった朝鮮半島の技術者らを動員。当初は募集形式を取ったとされる。44年から幅を広げ、日本各地の製鉄所や炭鉱などで働かせた。44年ごろからは10代を含む女性を学校の教師らが勧誘するなどし、朝鮮女子勤労挺身隊員として日本国内の工場に動員した。韓国政府が強制動員被害者と認定した人は計約22万人で、うち軍人や慰安婦を除く労働者と分類した人は約15万人。元徴用工や元挺身隊員らは日本で損害賠償請求訴訟を起こしたが、敗訴が確定。(ソウル 共同)