【講師のホンネ】パターン崩しのススメ 上野恵利子

 私たちが日頃から、なんとなく無意識に行っていることが、イライラの種になることを分かっているだろうか。

 例えば、通勤電車に乗る時間や乗る場所は、なんとなく同じになっていないか。毎朝同じ時間に起きて、同じテレビを見て、7時半の急行、前から3両目の1番前の扉から乗り、同じ道を歩いて会社に行くなど、なんとなく習慣になっている人も多いのではないだろうか。

 人は「変わりたくない」生き物だといわれる。それは「ホメオスタシス」という生命が同じ状態を維持しようとする性質から来ているという。そのため、生活にある一定のパターンが生まれる。そのパターンは、ほとんど無意識に行われて効率もいいが、パターンが少しでも崩れるとイライラしやすくなるそうだ。

 いつもの電車のいつもの場所に、誰かが立っているだけで「自分の場所をとられた」と軽くイラっとしたり、いつもの道が道路工事で迂回(うかい)路になっているだけでイラっとしたりする。

 また、会議の席や自宅の食卓の席など、何となく決まっている定位置はないだろうか。ホメオスタシスの性質上、いつもと違う席に座るだけで居心地が悪い、何だか落ち着かないと感じるのもこのためだ。

 近頃、イライラしているなぁ…と感じる人には、今日からすぐにできる「パターン崩し」をおススメする。

 ゲーム感覚の、習慣を変える練習。毎朝見るテレビを変える、食事をパンからご飯に変えてみる、家を出る時間や乗る電車を変える、コンビニを変えるなど、変えるものは何でもOKだ。

 変えやすく、変えるのに大きな努力のいらないことから始めるのがコツ。いつものパターンではない、違うことに慣れていくと、何かが変わっても簡単にはイライラしなくなる。突然の変化も問題なく受け入れられるようになって、メンタルが鍛えられているのを実感すると思う。

 人事異動や新しい職場などに変わったときは、新しい環境、新しい人間関係など、期待と不安が入り交じるもの。そんなときも、普段からパターン崩しの練習をしていると、相手がいつもと違う反応を示しても、「そんなこともあるな」と受け入れられ、穏やかに対応できる自分に驚くかもしれない。

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【プロフィル】上野恵利子

 うえの・えりこ 1965年、大阪生まれ。10年前に離婚、3人の子供を育てながら42歳で看護学校へ入学し資格を取得する。精神科の看護師として働きながら「日本アンガーマネジメント協会」アンガーマネジメントファシリテーターとしても活躍中。心匠セラピストとして心理カウンセリングを行うなど、心の元気を回復するサポートをしている。