医薬品開発の潮流「西から東」の流れを反転か 偏った医療の焦点変わるか (1/4ページ)

タイのコンケン大学で顕微鏡をのぞく研究者(ブルームバーグ)
タイのコンケン大学で顕微鏡をのぞく研究者(ブルームバーグ)【拡大】

 これまで長年にわたり、医療のイノベーションは主に西から東へと展開されてきた。しかし今、アジア人の体質や生活習慣に合わせた新たな医薬品や商品を開発して、この流れを反転させようとする企業が続々と現れている。

 こうした変化の原動力は、経済発展と所得向上によりアジア地域でより高額な医療が可能になったことだ。製薬会社が同地域に拠点を置く動機が生まれ、欧米企業がアジア地域向けの医薬品の研究開発センターを設置したり、現地で新たな企業が生まれたりする例が相次いでいる。コンサルティング会社フロスト・アンド・サリバンの予測によると、アジア医療業界の2018年の総収入は前年比11%増の5170億ドル(約58兆7100億円)に達する見通しだ。

 アジアに注目する多くの研究者は、人種によって疾患と治療法が異なる場合があり、欧米人に合わせた画一的な治療計画では不十分だという認識を出発点としている。特に、欧米人ではまれだがアジア人で多発する腫瘍が存在することから、がん治療の分野でこのアプローチが取られている。

 人種に応じた治療法

 香港中文大学で新薬開発を専門とする馬碧如教授は「ここには患者がいる。腫瘍サンプルがある。基本的なノウハウもある。文化面や経済的ニーズ以外の多様性、つまりがん治療にも多様性があることを認識することにより、必要とされている場所で医薬品を入手できるようになりつつある」と述べた。

「高精度医療」広まる