【水と共生(とも)に】大干魃で水枯渇の危機 南アフリカ、ケープタウンのいま (2/3ページ)

ビール醸造所内にある泉の水でプラスチック製のボトルを満たす住民=ケープタウン(ブルームバーグ)
ビール醸造所内にある泉の水でプラスチック製のボトルを満たす住民=ケープタウン(ブルームバーグ)【拡大】

  • ケープタウン近郊の村で、共同水栓から水をプラスチック容器に入れる住民(ブルームバーグ)
  • ドローンで撮影された干魃に見舞われたスイスの湖。水位は7メートル下がったといい、干魃は世界規模で進んでいる(AP)

 ケープタウンでは、周辺のダムに期待できないので、盗まれる心配のない軍用施設の貯水槽に水を蓄えている。同時に警察は、自然水系(河川、沼)からの盗水に対するパトロールを強化するとともに、水不足に乗じてボトル入りの飲料水の価格をつり上げている「悪徳水販売業者」などの摘発にも力を入れている。また、ケープタウンでは、食料品店や雑貨店など人が集まる約200カ所に緊急の給水ステーションを設置している。市民400万人に対し200カ所ということは、1ステーションに2万人の市民が並ばなければ飲料水を得られない計算だ。市民には数カ月前から節水を呼び掛けているが効果がなかった(市民の半数が無視)。

 1人1日50リットルに制限

 今年1月上旬には、市民の水使用量を1人1日50リットルにとどめるよう要請した。これは、シャワーは2~4分以内、トイレの使用回数も制限される水量である。この水量はかつて市民が使用していた量(300リットル)の6分の1である。こうした要請を行っても使用量が減らなければ、「1人1日当たり25リットル」に制限を厳格化する可能性を示し、使用量超過の場合は料金を7倍に引き上げることも提案されている。安いホテルなどに宿泊する客には、3ガロン(約11リットル)の水ボトルを事前に購入するよう指示している。

 また、1部屋での水使用量は100リットルに制限し、この制限を超えると自動的に断水する宿も多くなっている。仮に宿泊客が100リットル以上使った場合は、罰金を求める施設も多い。市内のスーパーマーケットから5リットルのボトル水がなくなり、水をためるための20~25リットルのボトルまで街中からなくなった。多くの市民がパニック買いしたのだ。それでもお金のある人は水を確保できるが、多くの貧しい人たちは水を得る機会も失われつつある。

 井戸掘りやリサイクル促進

 ケープタウンがある西ケープ州政府は既に、干魃対策に約540億円を割り当てており、さらに今後5年間で約1000億円の資金を水道施設の建設に投入する計画だ。しかし、深刻な水不足の前では“焼け石に水”である。ケープタウン市は急ピッチで水資源の確保に動いており、井戸掘りや水リサイクルの促進、海水淡水化装置(10万立方メートル/日)の建設を進めているが、完成は2年後である。

突拍子もない計画…水がないのに水掛け論