【寄稿】COP24カトヴィツェ会議が閉幕 (1/2ページ)


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  • COP24の会場入り口=ポーランド・カトヴィツェ(C)WWFジャパン
  • これまでに開かれたタラノア対話のとりまとめ会合の様子(C)WWFジャパン

 ■パリ協定のルールブック策定とタラノア対話の成果

 □WWFジャパン自然保護室 気候変動・エネルギーグループ長・山岸尚之

 ◆COP24の2つの主題

 ポーランド・カトヴィツェでのCOP24(国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議)は、当初のスケジュールを延長し、12月15日に閉幕した。

 そのCOP24には大きく2つのテーマがあった。1つはパリ協定のルールブック(実施指針)策定で、もう1つが「タラノア対話」である。

 2016年11月に発効したパリ協定は、2020年から本格的な運用が始まる。パリ協定を運用するにあたり、運用ルールを交渉して決める必要がある。その作業がルールブックの策定である。

 「タラノア対話」は、2018年の1年間を通じて、国連や各国内で開催されてきた。各国がパリ協定のもと提出している温室効果ガス排出削減目標では、パリ協定が掲げる「産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃より十分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求する」という目標には届かない。削減強化が必要になるが、こうした議論を進めるのは、政治的に非常に難しい。そのため、あえて「交渉」ではなく「対話」という形式をとり、建設的・生産的なアイデアを共有し合うという精神で行われてきたのがタラノア対話である。COP24ではその集大成として、大臣レベルの「対話」も行われた。

 ◆「ルールブック」策定

 ルールブックに関する交渉は当初、各議題項目について、草案が作成され、それを基に交渉が行われた。議題項目には、「次回の国別目標策定時に、どのような情報を書き込むのか」、「国別目標の実施状況は、いつ、どのような形で報告し、どのように進捗を共有し合うのか」といったものが含まれている(表)。

 COP24は12月2日に開幕し、本来なら、第1週目の交渉官レベル会合で細かい論点の調整を終え、第2週目の同11日から始まる閣僚級会合で、政治的な判断が求められる部分について議論を行う予定だったが、交渉は難航。比較的細かい論点についての議論が第2週目半ばまで続いた。

 特に対立が大きかったのは、国連気候変動交渉の長年の課題である、先進国と途上国の「差異化」についてである。例えば、次回の削減目標提出や進捗状況の報告を行う際のルールについて、先進国と途上国で区別するのか、それとももっと違う区別の仕方を行うのか、といった問題である。

 最終的には、一部に差異化を残し、一定の条件の下での柔軟性は持たせつつも、基本は統一的なルールが合意された。

 細かい部分で積み残されたものがあるものの、“大枠でのルールブック”が完成したことになり、パリ協定の本格運用に向けた準備が整ったことになる。

「タラノア対話」の成果