「温暖化が巨額被害招いた年」 地球環境問題めぐる世界の動き 回顧と展望 (4/4ページ)

 加藤三郎・環境文明研究所長の話

 各地で山火事や気象災害が多発した2018年は、地球温暖化の影響が顕在化し、人類に牙をむき始めた年として記憶されるだろう。

 日本の被害額は数兆円に上る可能性があるし、パリ協定を拒否したトランプ政権下の米国でも、政府の報告書が温暖化は米国経済に多大な被害をもたらすと指摘した。

 2006年、元世界銀行のチーフエコノミストだったニコラス・スターン氏らが、温暖化の被害を防ぐには50年までに世界の国内総生産(GDP)の約1%を毎年投じる必要があるが、対策を取らないと、最低でもGDPに5%、場合によっては20%のマイナスをもたらすとする報告書を発表している。

 12年間、世界の対策が遅れたためにこれが現実になりつつあるように見える。

 今からでも遅くはないので、高額の炭素税導入など思い切った温室効果ガスの排出削減を進めることが急務だ。

 顕在化する温暖化の影響を回避、軽減するための「気候変動適応法」が12月に施行された。温暖化の影響に対する「適応策」の推進も重要だ。