【平成という時代 アイドル社会学(2)】価値観、がらりと変えたネット社会 (3/3ページ)

ファンたちはアイドルとの握手など「身近さ」のほか、SNSでもつながりを求めている(イメージ)
ファンたちはアイドルとの握手など「身近さ」のほか、SNSでもつながりを求めている(イメージ)【拡大】

 一方、ネットを使って共感を広げるスタイルは、アイドル界を複雑化させた。

 境氏は、「テレビに出られないとアイドルになりたくてもなれなかった時代とは違い、ネットで活動し、『アイドルです』と名乗れば誰でもアイドルになれるようになった」。自身で写真や動画を配信、ライブ会場を自前で手配してチケットを手売りするセルフプロデュースのアイドルなども急激に増え、その数は「3千組以上ともいわれるが、もっと多いのでは」という。

 「こんなにも多いと、何かに抜きんでた存在にならなくては」。地下アイドルの経験もあるアイドル、眉村ちあきさんは会社を立ち上げて「社長」という肩書をネタにしたり、ユーチューブに公式チャンネルを持ち、ライブ動画のアップを続けたりし、話題を呼ぶ。「とにかくフル活用です。新しいツールをどれだけ駆使できるかがカギ」

 ネットはアイドルの価値観をがらりと変え、思わぬアイドルの“戦国時代”を招いた。