【視点】学校施設の「非構造部材」 先生任せの点検は危機感の欠如だ (2/3ページ)

 追跡すると、問題なのはつり天井以外の耐震点検。実施した2万4190校(84.2%)のうち、教育委員会や業者ら専門家に依頼したのは6割程度の1万4771校。4割は学校だけで実施していた。佐賀県は実施124校中専門家への依頼は12校。沖縄県は全404校中120校しか実施せず、このうち専門家の依頼は42校。

 佐賀県は「外部委託には、予算の都合があった。補正(予算)を組むなど、計画的な取り組みをするべきだった」(学校施設課)。沖縄県では「危機感が足りず、耐震に対する考えが甘かった」(県教育庁施設課)とする。憂慮した文科省は、本体の100%実施と非構造部材の着実な実施を求めた通知を都道府県に出したほどだ。

 文科省では、15年3月に作成した「非構造部材の耐震化ガイドブック(改訂版)」を参考にするよう、教委に3部配布。学校には、同省のホームページにアップし、実施するよう求めた。ガイドブックは、学校の日常的な点検と教委の定期的な点検などに分け、非構造部材の劣化状況、部材の取り付け工法などを細かく解説しているが、点検は現場の裁量に任されている。

 ガイドブック作成の協力者の一人で、学校安全教育研究所教授・事務局長の矢崎良明氏(元小学校長)はいう。「教委は学務担当が中心。施設専門のスタッフは少なく、細かい指導は無理だ。先生も、非構造部材を知らないケースもある」

 書棚や机が倒れないよう、ピアノが動かないよう、額縁が落ちないよう、なら先生でも可能だ。だが、部品の老朽化や緩み、壁のひびに対する危険性の判断など、専門的な“目”はない。そもそも、「地震に特化した安全点検はしていない」(矢崎氏)という。都内の小学校長は「時間は限られている。ガイドブックは項目が多く、丁寧に行う余裕はない」と話す。東京都教育委員会に専門の職員は16人いるが、小規模の自治体にはいない場合が多い。矢崎氏は「教委の中に学校を回って指導する専門のスタッフを置くべきだ」と指摘する。

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