【寄稿】COP24カトヴィツェ会議を振り返って WWFジャパン自然保護室次長・小西雅子 (3/3ページ)

パリ協定の実施指針を採択し、COP24の会場は拍手に包まれた=現地時間2018年12月15日、ポーランド・カトヴィツェ(C)WWFジャパン
パリ協定の実施指針を採択し、COP24の会場は拍手に包まれた=現地時間2018年12月15日、ポーランド・カトヴィツェ(C)WWFジャパン【拡大】

  • ≪図パリ協定の実施指針≫出所:COP24決定(https://unfccc.int/katowice)からWWFジャパン作成

 実はこの透明性は、パリ協定が成立したCOP21(2015年)で米国がもっともこだわった部分でした。米国は、「米国と中国が同じルール下にある状態」を強く望んだのです。結果的に、今回決まったパリ協定のルール集は、米国にとって十分容認できる内容になりました。これは「米国がその気になれば、パリ協定への姿勢を戻すことができる環境」といえます。

 ◆1.5℃特別報告書の存在感

 COP24では1.5℃特別報告書が大きな存在感をみせました。第1週には、COP24の結論の中で同報告書をどう扱うべきかについて、サウジ、クウェート、ロシア、米国の4カ国が、報告書を“歓迎する”のではなく、単に“注意を払う”という表現にするべきだと強く主張しました。COP24議長が妥協案を出してきたのに対し、モルディブ(温暖化の悪影響を強く受ける小さな島国連合の代表)は「“歓迎する”と書くべきだ。議長の妥協案は受け入れられない」と反論し、ラテンアメリカの数カ国連合の代表であるコロンビアや後発開発途上国連合、韓国、コスタリカ、カナダ、ノルウェー、欧州連合などがこれに続き、議場は騒然となりました。

 最終的には、COP決定文書の中で1.5℃特別報告書に「感謝を表す」との表現に落ち着きました。

 同報告書は、COP24のほぼすべての議題で言及されるほど存在感が大きく、これからは“1.5℃目標”がスタンダードになっていくことを確信させました。

 パリ協定は、各国の取り組みを見える化し、その検証の仕組みを詳細に決め、お互いに監視しあうことによって成り立ちます。各国は国内対策を協定に沿って真摯に実施し、協定の効果を上げていく必要があります。日本も有効な気候変動政策を早期に導入し、実効力を上げていく時が来ています。

【プロフィル】小西雅子

 昭和女子大学特命教授。法政大博士(公共政策学)、ハーバード大修士。民放を経て、2005年から温暖化とエネルギー政策提言に従事。