米MRI元幹部ら拘束 巨額詐欺 身柄引き渡し審査請求 東京高検

 米ラスベガスの資産運用会社「MRIインターナショナル」の元幹部ら3人が米国で起訴された巨額詐欺事件で、東京高検が、既に有罪評決を受けた社長以外の2人の身柄を日本で拘束したことが31日、関係者への取材で分かった。高検は逃亡犯罪人引渡法に基づき、米国側が要請している引き渡しの可否を審査するよう東京高裁に請求した。認められれば、2人は米国で裁判を受ける。

 MRIは平成10年から、診療報酬を保険会社に請求できる権利を債権化した金融商品を日本で販売。25年、顧客約8700人から集めたとされる計約1300億円の資産消失疑惑が発覚した。

 身柄を拘束されたのは、日本事務所の元統括責任者、鈴木順造被告(70)と、経理や広告を担当していた息子のポール鈴木被告(40)。出資金を運用せず、配当や個人的な出費に流用したなどとして起訴された。

 起訴された3人のうち社長のエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ被告(72)は昨年11月、ラスベガス連邦地裁で有罪の評決を受け、今年3月に量刑が言い渡される。

 顧客らが出資金の返還を求めた2つの集団訴訟は、昨年6月に日米両国で一括和解が成立。和解金に民事制裁金を加えた計約50億円が顧客らに分配される。

【用語解説】MRIインターナショナル

 米国の資産運用会社。診療報酬を保険会社に請求できる権利を債権化した金融商品を日本で販売していたが、平成25年に巨額の資産消失疑惑が発覚した。金融庁は出資金を配当に充てたとして、金融商品取引業の登録を抹消した。米証券取引委員会(SEC)が起こした裁判で米連邦地裁は詐欺行為を認定。その後、民事制裁金の支払いを命じた。米司法当局が元幹部ら3人を詐欺罪で起訴し、このうち社長は昨年11月に有罪の評決を受けた。