「炎上」は避けることができる 「嵐」の会見が“100点”だった理由 (1/5ページ)

 これほどうまい会見は、そう滅多にお目にかかれるものではない。先月27日、活動休止宣言をした人気アイドルグループ「嵐」がメンバー全員で急きょ催した「説明会見」のことである。

 筆者はこれまで10年くらい、企業トップ、政治家、有名人などが会見を催す際の「事前練習」の手伝いをしてきた。しっかり数えたことはないが、その数は300件は超えていると思う。

 どうすれば失言を避けることができるのか。そして、どうすれば語る言葉に1人でも多くの人が理解を示してくれるのか、ということを登壇者の立場に立って考え、最善の道を示して、その練習をさせることが筆者の役割である。

 口はばったいが、そういう「会見のプロ」の目から見ても、今回の嵐の会見は100点満点だ。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

(写真提供:ゲッティイメージズ)

 「全員がよく話し合って全員が納得した結果」という最も伝えたいメッセージを世間に強く印象付けただけでなく、ミスリードされるような質問もしっかり処理。会見でもアイドルとして「優等生」なんて呼ばれていたが、まったくソツがなくスマートな会見だった。

 企業経営者など組織トップはもちろん、大勢の人の前で何かしらのメッセージを発しなくてはいけない人にとって、参考になる部分がたくさんあった。

 ということを言うと、「国民的人気アイドルなんだから、どんな会見をしたってファンがチヤホヤするだろ」とか「ジャニーズ事務所に忖度(そんたく)するマスコミが優しかったからだろ」なんて意地の悪いことを言う人もいるだろうが、今回の会見は「ファンの擁護」や「大手事務所のメディアコントロール」だけでは乗り切ることができないリスクがたくさんあった。

 どんなにファンや御用メディアがかばったところで、世間的に納得できる説明がなければ、おかしな憶測が流れる恐れもあった。また、SMAPの独立騒動からの謝罪や、TOKIOの山口達也メンバー引退騒動などの流れもある中で、休止理由がモヤモヤするものだと、やれ結婚か、やれ不仲かとうがった見方もされることもあった。

 だが、彼らはそのようなネガティブな論調は見事にねじ伏せている。大野智さんが休みたいということの具体的な理由はよく分からなかったが、世間はそこにまったく不満がない。むしろ、大野さんの決断を応援するような声も出ており、完全に世論を味方につけているのだ。

 みんなにチヤホヤされていた人気者が、ちょっとした言動で「死ね」「消えろ」とつるし上げられる今の日本で、ファンや事務所の力だけでここまでの支持は得られない。やはり、彼らが多くの人が納得できるコミュニケーションのツボを抑えていたと考えるべきだろう。

5人の役割分担ができていた