同会は日本初の小型四輪駆動車「くろがね四起」をスクラップ状態から新車同様にまで修復(レストア)して注目を集めたが、この際はクラウドファンディングで1300万円あまりの寄付金が寄せられた。この実績を足がかりにして、今回は日本の軽戦車「九五式」の里帰りを計画した。同会では恒久的な保存・展示を目指し、将来的には会の名称通り、防衛技術に関する車両類を集めた博物館を設立する構想を持っている。
実は、こうした技術遺産の保存や継承という面では、日本は進んでいるとは言い難い。
欧米との差
ドイツは日本と同じく第二次世界大戦の敗戦国だが、欧州トップクラスの規模を持つ「ジンスハイム自動車・技術博物館」(ドイツ南西部バーデン・ヴュルテンベルク州)がある。「自動車」と名付けられてはいるが、欧州各国の戦闘機や戦車など多数を所蔵、展示。自動車史に残るクラシックカーやバイク、蒸気機関車と等しい扱いで展示されている。政治や思想を抜きに、技術発展の歴史として評価されているのだ。まさに「技術史のマイルストーン(一里塚)を発見する場所」(同館)だが、その規模からは信じがたいが、同館は私有で運営されている。
米国ではスミソニアン博物館が世界的に有名だ。国立だけに、歴史の証拠を残そうという意志は並々ならぬものがある。
米国は第二次大戦の戦勝国だが、当時の敵だった日本やドイツの軍用機の保管と復元に並々ならぬ力を注いできた。零戦などの著名機はもちろん、日本の夜間戦闘機「月光」や、ドイツのHe219「UHU」(ウーフー)など、世界で現存する唯一の機体も多く所蔵している。