【Science View】薄板ガラス流路中の微粒子を音波で操作/SACLAの明るさを6倍にすることに成功 (1/4ページ)

≪図微粒子音響絞り込みに対するガラス製マイクロ流体チップと厚さの影響≫0.4mm、1.4mm、2.8mmの厚さのガラス製マイクロ流体チップに、水中に分散させた直径2μmのポリスチレン粒子を流し、圧電素子に電圧をかけて音波を発生させた。その結果、粒子が音響絞り込みにより流路の中央に集まり、その様子の違いを比較した。矢印は粒子の流路中の広がりを表し、右下のスケールバーは20μmである。同じ電圧、つまり同じ音波強度では、薄いマイクロチップほど微粒子に対する音響絞り込みの効果が高くなることが分かった
≪図微粒子音響絞り込みに対するガラス製マイクロ流体チップと厚さの影響≫0.4mm、1.4mm、2.8mmの厚さのガラス製マイクロ流体チップに、水中に分散させた直径2μmのポリスチレン粒子を流し、圧電素子に電圧をかけて音波を発生させた。その結果、粒子が音響絞り込みにより流路の中央に集まり、その様子の違いを比較した。矢印は粒子の流路中の広がりを表し、右下のスケールバーは20μmである。同じ電圧、つまり同じ音波強度では、薄いマイクロチップほど微粒子に対する音響絞り込みの効果が高くなることが分かった【拡大】

  • 太田亘俊氏
  • ≪図通常のXFELと反射型セルフシード技術を使った場合のXFELの平均スペクトルの比較≫青線は通常のXFELのスペクトル、赤線は反射型セルフシード技術を使った場合のXFELのスペクトルである。反射型セルフシード技術によって、通常のXFELと比較して波長広がりを10分の1にすることに成功した。スペクトルのピークは6倍に向上している。これは、X線の明るさを表す物理量である輝度(スペクトルピークの値に比例)が、通常のXFELに比べ6倍もの大きさになることを意味している
  • 井上伊知郎氏

 □理化学研究所 生命機能科学研究センター 集積バイオデバイス研究チーム 研究員・太田亘俊

 ■薄板ガラス流路中の微粒子を音波で操作

 マイクロ流路に音波をかけると、流路内に流れる微粒子が音波のエネルギーを受け、流路中央に直線状に整列する現象が見られる。この現象を利用した「音響絞り込み」により、これまでに動物細胞など約10マイクロメートル(μm、1μmは1000分の1mm)以上の微粒子を操作する方法が、免疫細胞などの検査や分別に用いるフローサイトメーターなどに応用されている。しかし、数μm以下の微粒子についての操作は困難だった。

 今回、理研を中心とした共同研究グループは、ガラス基板に対してフッ化水素を用いたエッチングを行い、表面に幅120μm、深さ35μmの直線流路を形成し、その上にガラスを貼り合わせて、厚さ2.8mm以下の数種類のマイクロ流体チップを作製した。それらの流路内に流れる微粒子に音波を効率よく届けて、その動きを観察した。その結果、厚さ0.4mmのマイクロ流体チップを用いると、音響絞り込み効果の大幅な改善が見られ、直径0.5~10μmの微粒子に対して絞り込み可能なことが分かった。さらに、大きさが1μm程度の不規則な形をした微生物の絞り込みや、水中に分散させた2~10μmのポリスチレン粒子を流路の中央に集めた後、余分な水分を排出することで、濃縮することもできた。

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