【Science View】薄板ガラス流路中の微粒子を音波で操作/SACLAの明るさを6倍にすることに成功 (2/4ページ)

≪図微粒子音響絞り込みに対するガラス製マイクロ流体チップと厚さの影響≫0.4mm、1.4mm、2.8mmの厚さのガラス製マイクロ流体チップに、水中に分散させた直径2μmのポリスチレン粒子を流し、圧電素子に電圧をかけて音波を発生させた。その結果、粒子が音響絞り込みにより流路の中央に集まり、その様子の違いを比較した。矢印は粒子の流路中の広がりを表し、右下のスケールバーは20μmである。同じ電圧、つまり同じ音波強度では、薄いマイクロチップほど微粒子に対する音響絞り込みの効果が高くなることが分かった
≪図微粒子音響絞り込みに対するガラス製マイクロ流体チップと厚さの影響≫0.4mm、1.4mm、2.8mmの厚さのガラス製マイクロ流体チップに、水中に分散させた直径2μmのポリスチレン粒子を流し、圧電素子に電圧をかけて音波を発生させた。その結果、粒子が音響絞り込みにより流路の中央に集まり、その様子の違いを比較した。矢印は粒子の流路中の広がりを表し、右下のスケールバーは20μmである。同じ電圧、つまり同じ音波強度では、薄いマイクロチップほど微粒子に対する音響絞り込みの効果が高くなることが分かった【拡大】

  • 太田亘俊氏
  • ≪図通常のXFELと反射型セルフシード技術を使った場合のXFELの平均スペクトルの比較≫青線は通常のXFELのスペクトル、赤線は反射型セルフシード技術を使った場合のXFELのスペクトルである。反射型セルフシード技術によって、通常のXFELと比較して波長広がりを10分の1にすることに成功した。スペクトルのピークは6倍に向上している。これは、X線の明るさを表す物理量である輝度(スペクトルピークの値に比例)が、通常のXFELに比べ6倍もの大きさになることを意味している
  • 井上伊知郎氏

 本研究成果は、さまざまな微粒子の検査における精度の向上や、微粒子を含む工業製品や医薬品などの品質管理の高効率化に貢献すると期待できる。

【プロフィル】太田亘俊

 おおた・のぶとし イリノイ大学(米国)大学院化学研究科博士課程修了、博士(化学)。大阪大学産学連携本部特任研究員、理化学研究所生命システム研究センターテクニカルスタッフ、同特任研究員などを経て、2018年4月から現職。

 ■コメント=ミクロの現象をよりシンプルに操作、解析できる装置を生み出したい。

■ □ ■

 □理化学研究所 放射光科学研究センター XFEL研究開発部門 ビームライン研究開発グループ ビームライン開発チーム 基礎科学特別研究員・井上伊知郎

 ■SACLAの明るさを6倍にすることに成功

 通常のレーザーが発振する波長範囲は赤外線から可視光に限られるが、より短波長であるX線領域のレーザーを発振する手法が考案されたことにより、2011年にX線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」が完成した。SACLAでは、アンジュレータと呼ばれる磁石列に電子ビームを通すことでレーザーを発振するが、最終的に得られるXFELは大きな波長広がりを持つという問題があった。XFELを利用する実験の多くは、狭い波長幅のX線ビームを使うため、不必要な波長のX線ビームを除去しなければならず、X線強度の大部分が失われていた。

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