【Science View】薄板ガラス流路中の微粒子を音波で操作/SACLAの明るさを6倍にすることに成功 (3/4ページ)

≪図微粒子音響絞り込みに対するガラス製マイクロ流体チップと厚さの影響≫0.4mm、1.4mm、2.8mmの厚さのガラス製マイクロ流体チップに、水中に分散させた直径2μmのポリスチレン粒子を流し、圧電素子に電圧をかけて音波を発生させた。その結果、粒子が音響絞り込みにより流路の中央に集まり、その様子の違いを比較した。矢印は粒子の流路中の広がりを表し、右下のスケールバーは20μmである。同じ電圧、つまり同じ音波強度では、薄いマイクロチップほど微粒子に対する音響絞り込みの効果が高くなることが分かった
≪図微粒子音響絞り込みに対するガラス製マイクロ流体チップと厚さの影響≫0.4mm、1.4mm、2.8mmの厚さのガラス製マイクロ流体チップに、水中に分散させた直径2μmのポリスチレン粒子を流し、圧電素子に電圧をかけて音波を発生させた。その結果、粒子が音響絞り込みにより流路の中央に集まり、その様子の違いを比較した。矢印は粒子の流路中の広がりを表し、右下のスケールバーは20μmである。同じ電圧、つまり同じ音波強度では、薄いマイクロチップほど微粒子に対する音響絞り込みの効果が高くなることが分かった【拡大】

  • 太田亘俊氏
  • ≪図通常のXFELと反射型セルフシード技術を使った場合のXFELの平均スペクトルの比較≫青線は通常のXFELのスペクトル、赤線は反射型セルフシード技術を使った場合のXFELのスペクトルである。反射型セルフシード技術によって、通常のXFELと比較して波長広がりを10分の1にすることに成功した。スペクトルのピークは6倍に向上している。これは、X線の明るさを表す物理量である輝度(スペクトルピークの値に比例)が、通常のXFELに比べ6倍もの大きさになることを意味している
  • 井上伊知郎氏

 今回、理研を中心とした共同研究グループは、波長広がりが小さなXFELの発振法の「反射型セルフシード法」を考案した。この方法では、一度XFELを発振させた後に、アンジュレータを前半・後半の2つの部分に分け、その間にシリコンでできた分光器によってXFELを単色化し、それを「種」として再度XFELを増幅させる。これにより、波長広がりが小さなX線ビームからレーザー増幅が始まるために、最終的に得られるXFELの波長幅が極めて狭くなる。この方法をSACLAに適用した結果、従来のXFELと比較して波長幅が約10分の1、明るさ(輝度)が6倍もの超高輝度のXFELの生成に成功した。

 本研究成果は、XFELを用いた実験の高効率化やX線非線形光学現象の観測などの新しい科学の開拓に貢献すると期待できる。

【プロフィル】井上伊知郎

 いのうえ・いちろう 2011年東京大学工学部物理工学科卒業。16年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了、博士(科学)。同年4月から現職。

 ■コメント=新しい光学技術と光源開発を通じて、X線科学の発展に貢献したい。

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 ■「産業界との融合的連携研究制度」 今年10月設置チームの募集開始

 企業が抱える研究開発課題に対し、企業と理研の融合チームを理研内に置いて研究開発を共同で実施する「産業界との融合的連携研究制度」2019年10月設置チームの募集が始まった。企業と理研が一体となることで理研の研究成果に基づく形式知(特許・論文)だけでなく、暗黙知(ノウハウなど)を効率的に企業に移転し、研究成果の早期実用化・次世代の技術基盤の創造を目指すのが狙い。

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