論風

再エネ大改革の行方 社会保障経済研究所代表・石川和男 (1/2ページ)

 ■買い取り総額に上限を

 再生可能エネルギーによる電気は「固定価格買取制度(FIT)」の認定後、大手電力10社が長期間・高値で買い取る。その財源は、消費者の電気料金に上乗せされる賦課金。2019年度での買い取り総額は3.6兆円。このうち、化石燃料から再エネに置き換わることで支払わなくて済む化石燃料代を差し引いたものが賦課金で、総額2.4兆円となる見込み。FIT認定案件が今後とも順次稼働し始めれば、買い取り費用も賦課金も毎年上がり続ける。買い取り費用総額は30年では3.7~4.0兆円にまで増える見通し。

 10月の消費税率10%への引き上げによる増収分は5.6兆円。消費税1%分は2.8兆円となる計算。これと比べても再エネの買い取り費用・賦課金はいかにも巨額。再エネ関連の膨大な国民負担をどう抑制するかが課題だ。

 FITが今後とも一定の役割を担っていく中で、再エネの利用促進と国民負担抑制を両立させるべく、政府は20年度末までに抜本的見直しを行う。

 以下に改革案を提起したい。

 不適格案件の一掃

 (1)未稼働案件の認定取り消しの迅速化 FIT認定は受けているものの、高い調達価格の権利を保持したまま運転が開始されていないという「不適格な未稼働案件」は、事業用太陽光で非常に多く見られる。是正措置も取られたものの、不適格な未稼働案件が一掃されていない。事業用太陽光も含め残存する不適格な未稼働案件に対しては、認定取り消しが迅速に行われるための基準を明確化する必要がある。

 (2)“超高値”案件に係る負担軽減 FIT法によると、「経済事情に著しい変動」が起これば、認定済み案件や稼働済み案件の買い取り価格・期間を事後的に変更できる。既に決めたものを事後的に変更することは容易ではないが、超高値案件の買い取り価格・期間を事後的に変更できるようにでもしておかなければ、国民負担は肥大化の一途をたどる。事後に変更できる環境を整備しておく必要がある。

 (3)適地の『ゾーン設定』 再エネ電源の立地にも安全・環境面で制約がある場合が少なくない。FIT施行直後から激増した事業用太陽光は例外として、ほとんどの再エネ電源の導入実績は限定的。今後、風力・バイオマス・地熱・中小水力の導入量を増やすには、適地を意欲的な自治体に対し、前もって『ゾーン設定』するよう促す仕組みを新設すべきだ。

 (4)出力変動のない電源の優先接続 自然変動電源である太陽光・風力の円滑な導入には火力や水力によるバックアップが必須だが、これは再エネ関連コストの上昇要因の一つ。バイオマスや地熱、などの安定電源導入を促進することで再エネ関連コストを抑制できれば、太陽光・風力よりも優先的に接続するルール設定を検討すべきだ。

 (5)買い取り総額の上限の設定 再エネ関連の国民負担を抑制するには買い取り費用の総額に上限規制を設定することも真剣に考える必要がある。19年度では消費税1.3%分相当の資金が買い取り費用に充てられるのだ。

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