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ガンマ線バーストのスペクトルと明るさの相関関係の起源 (2/3ページ)

 □理化学研究所 科技ハブ産連本部 医科学イノベーションハブ推進プログラム 健康医療データ多層統合プラットフォーム推進グループ 健康医療データAI予測推論開発ユニット ユニットリーダー・川上英良

 ■機械学習で卵巣腫瘍の特性を術前予測

 卵巣がんは女性の生殖器腫瘍の中で最も予後が悪いものの一つで、近年卵巣がんによる死亡者数は増加している。治療としては手術による腫瘍の切除が行われるが、手術の前後に化学療法を行うことが一般的である。化学療法を有効に行うために、術前に進行期や組織型を予測し、患者ごとに適切な治療戦略を策定することが強く望まれている。

 今回、理研を中心とする共同研究チームは、卵巣腫瘍患者(悪性卵巣腫瘍334人、良性卵巣腫瘍101人)の年齢および術前血液検査データ32項目に基づいて、「教師あり機械学習」を用いることで悪性腫瘍と良性腫瘍を非常に精度良く予測する手法を開発した。そして、同じデータに基づき、がんの進行期や組織型といった特性を予測できることも示した。さらに、このデータ32項目に基づいて「教師なし機械学習」を行った結果、早期がんの中に「良性腫瘍に似た血液検査データパターンを示す症例(クラスタ1)」と「進行がんに似た血液検査データパターンを示す症例(クラスタ2)」が存在していることを見いだした。クラスタ1は再発がほとんどなかったのに対して、クラスタ2は再発率と死亡率が高いという、予後との強い関連を示した。

 このように、術前の検査データから予後と関連する新しい疾患分類を見いだせたことで、本研究成果は今後の予測・個別化医療に向けたがんの術前診断に貢献すると期待できる。

【プロフィル】川上英良

 かわかみ・えいりょう 2007年東京大学医学部医学科卒。2011年東京大学博士課程修了、博士(医学)。ERATOプロジェクト、理化学研究所の研究員を経て、17年10月より現職。19年から千葉大学人工知能(AI)医学 教授を兼任。

 ■コメント=ただの予測にとどまらず、新しい知識発見に繋がる機械学習や数理手法を開発したい。

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