【生かせ!知財ビジネス】PBPC使用、特許庁が当面の審査方針

2015.7.18 05:00

 特許庁はこのほど、物の発明に関する特許出願における明細書上の「クレーム」(請求項=特許の範囲を出願人が示す項目)に「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」(PBPC=製造方法を記した請求項)が使われている場合の当面の審査方針を公表した。

 PBPCについては、協和発酵キリンがハンガリーの製薬会社テバの医薬品特許を侵害したとする訴訟で採用を求めたが、6月の最高裁判決では認められず扱い方が課題となった。このため審査官が特許法適用などの判断基準とする「特許・実用新案審査基準」を検討する産業構造審議会知的財産分科会の審査基準専門委員会ワーキンググループ(審査基準WG)で急遽(きゅうきょ)論議されていた。

 当面の審査方針では特許出願時点で、発明に該当する物をその構造や特性から直接特定することが技術的に不可能か、実際的でない事情(著しく過大な経済的支出や時間がかかるなど)がある場合(不可能・非実際的事情)に限りPBPCを認め、不可能・非実際的事情の立証責任を出願人に負わせた。出願人によって明細書で示された内容が不明確な場合、審査官は出願人に対して拒絶理由を通知し、反論、明細書の補正、事情の主張・立証などの機会を与えるが、引き続き不十分な場合、特許明細書の記載要件の一つである明確性がないと判断し、拒絶査定(特許権を認めない決断)とする。

 ただし、不可能・非実際的事情については「出願人による主張・立証の 内容に基づいて判断する」「発明の属する技術分野における技術常識も考慮する」「(審査官に)合理的な疑問がない限り、不可能・非実際的事情が存在するものと判断する」とした。この審査方針の適用については現在出願・審査中の案件や今後の出願・審査案件だけでなく、特許庁で係属中の審判(既に成立した特許権の効力などに対する訴えの審理)事件、今後請求される審判事件なども対象となる。

 「現状では、不可能・非実際的事情について特許庁の判断がどうなるかよく見えていない」(都内特許事務所のベテラン弁理士)という声も聞かれるが、審査基準WGは具体例を充実するよう求めており、特許庁では今後、事例の提示に努め、審査官だけでなく出願人の理解を促していく考え。なお正式な審査基準改訂は10月上旬の予定だ。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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