日航機の発煙事故「怖くて死ぬかと…」「パニックだった」 乗客生々しく証言

2016.2.24 11:25

 雪の降りしきる新千歳空港で発生した日航機のエンジン発煙事故。脱出シューターで緊急脱出した乗客らは、寒さと恐怖で身を震わせながら、緊迫の瞬間を振り返った。

 「ものすごい煙が流れ、怖くて死ぬかと思った」と話すのは北海道に旅行に来ていた大分県竹田市の主婦、石井みずきさん(29)。

 息子(5)、娘(4)とともに機体中央部付近に座っていると、突然たばこのような煙が機内に流れ込み、ガソリンのような猛烈な臭いが漂い始めた。石井さんは「乗務員の指示で体を低くして、ヘッドレストのカバーで口を覆ったが、臭いで気分が悪くなった」という。

 北九州市から家族や友人とスキーにきていた会社員の男性(55)は「刺激臭で目がチカチカした。女性の悲鳴が上がりパニックだった」と説明する。後方の座席から「エンジンから煙が出た」という声が上がると、「怖い」という女性の声が響いたという。

 脱出の指示が出ると、石井さんは一緒に旅行していた弟の美容師、宮田悠之さん(23)とともに2人の子供を抱きかかえて脱出シューターへ。娘は恐怖で泣いていた。

 「震えが止まらなかった。(助かったのは)奇跡だと思った」と宮田さん。「乗客の1人の搭乗が遅れたことと、雪が急に降り出し、離陸せずに待機していたという“偶然”が重なったことで、無事脱出できたのではないか」と、ほっとした様子で話した。

 日航によると、治療の必要がない乗客は24日朝の臨時便で福岡空港に向かうという。24日に福岡市で行われる遊技機取扱主任者の試験を受ける予定だったという北海道・長万部町のパチンコ店副店長、川島雅和さん(42)は「試験を受けられるかどうかわからなくなった…」と困惑した表情を見せた。

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