地元ネタ満載「リアルな静岡」 焼津市在住、瀬戸口みづきさんの4コマ漫画人気

 
静岡ネタが満載の4コマ漫画集を出版した漫画家の瀬戸口みづきさん(石原颯撮影)

 東京から静岡市にUターン転職した会社員の女性を主人公にした焼津市在住の漫画家、瀬戸口みづきさんの4コマ漫画集「ローカル女子の遠吠え」(芳文社)が人気を博している。昨年5月に発売した第1巻は7回、第2巻は3回重版され、今年8月には第3巻が発売された。静岡のローカルネタが随所に盛り込まれており、東京と名古屋に挟まれ、イメージが薄いとされる静岡をよく知ることができると県外の読者にも評判だ。(石原颯)

 漫画は東京本社から左遷された男性や静岡から離れたことのない同僚社員らとの日常をコメディータッチで描いている。「お茶摘み休暇」や交差点で信号機から流れる音楽が童謡の「ふじの山」であることなど、県外から見ると嘘のような地元ネタが4コマ漫画でテンポよく展開されていく。

 静岡県民から見れば「うん。ある、ある」と思わず含み笑いを浮かべてしまうようなネタが満載だが、意外なのが県外での反響が大きい点。出版した芳文社には「静岡のイメージが薄かったが、漫画を読んで行ってみたいと思った」といった声が県外の読者から数多く寄せられている。

 同社の編集担当、黒沢真さんによると、当初は地方で生活するアラサー女性の生きづらさを描く作品とするはずだったが、瀬戸口さんと打ち合わせをしているうちに、瀬戸口さんが話す「東京からそれほど離れていないのに全く文化が違う」静岡の日常の様子があまりに面白く、静岡ネタを前面に出した作品にすることが決まったという。

 一方で、地方に暮らす女性の生きづらさを笑いにするという当初のコンセプトも健在で、作品には、極端にコミュニティーが狭かったり、すぐに結婚をせかされたりするといった地方ならではの事情が引き起こす悲喜劇も随所に盛り込まれている。

 作品の主人公と同じように、瀬戸口さんも絵画を学ぶために一度県外の大学に出て、その後、静岡に戻ったUターン組で、県外での生活を経て、富士山やお茶に強い愛着を示す静岡県民の特殊性、おもしろさに気づいたという。

 漫画に登場するネタは自身が住んでいる中部の話が多いが、今後は「西部や東部、伊豆のネタも増やしていきたい」と意気込む。東西に長い県だけに、それぞれの地域ごとに同じ県とは思えないほど文化が違うといい、取材するたびに「新しい発見がある」と自ら車を走らせて取材に奔走する。

 作品ネタの定番は「富士山」「お茶」「徳川家康」だが、ネタ切れになっていないか尋ねたところ、「その3つだけでもまだまだネタがある。静岡ネタを楽しんでほしい」と元気な答えが返ってきた。今後もネタに事欠かない静岡の魅力を漫画で全国に発信していく心づもりだ。