小暮真久氏「人生100年時代の新しい働き方」

著者は語る

 □TABLE FOR TWO International代表理事・小暮真久氏

 ■重要になる「五感」にまつわるスキル

 「働き方改革」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。時間外労働を減らすため、人生100年時代の到来で延びる職業人生を豊かにするため、など理由はさまざま。ですが、いずれにせよ確かなのは、これまで良しとしてきた働き方を見直す時期に来ている、ということでしょう。

 私自身、研究者、コンサルタント、そしてNPO経営者とさまざまな職業を経験し、その度に働き方を模索してきましたが、もはや日本でも転職や副業を持つことも当たり前になりつつある。そうなれば、一緒に働く「同僚」も同じ組織に所属する人ではなくなります。今後は、毎日違う場所で違うメンバーと仕事をする、という働き方をする人も増えるに違いありません。

 そんな来るべき時代の「新しい働き方」に必要なスキルとはどんなものだろう。考え始めて最初に浮かんだのは分析力や論理思考などの「ハードスキル」ではなく、人間関係を円滑にするような「ソフトスキル」でした。例えば、傾聴力といわれるように、ビジネスにおいて「聞く力」は重要視されていますが、それは多様性を増す今後の職場において必須のスキルとなるでしょう。なぜなら相手の話を聞き、背景を理解することで共感と信頼が生まれ、仕事がより円滑に進むようになるからです。本書ではもう一歩進めて、「共感聴力」と呼んでいます。私自身の経験でも、これができるとできないとでは仕事の成果が大きく違いました。

 そして「聞く」だけでなく人間の「五感」にまつわるスキルが重要になるというのが、この本を通して私が伝えたいことです。こうした「人間ならでは」のスキルを磨いておけば、人工知能(AI)がさらに進化した将来であっても、社会人として高い価値を創出し続けることができます。

 同時に、五感を解き放って仕事に向き合うことは、より自分に正直で快適な仕事の仕方を見つけ、さらには来るべき時代の「新しい働き方」の構築につながっていくのだと私は考えています。(1620円、ダイヤモンド社)

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【プロフィル】小暮真久氏

 こぐれ・まさひさ 1972年生まれ。先進国の肥満と開発途上国の飢餓という2つの問題の同時解決を目指す、日本発の社会貢献事業を運営するNPO法人「TABLE FOR TWO International(TFT)」代表理事。人工心臓研究者、マッキンゼー・アンド・カンパニー、松竹株式会社を経て同職に。2014年から3年間、TFTの活動をよりグローバルに広げるためにイタリアに移住するなど、仕事や人生の局面に沿った柔軟な働き方を実現している。