「年収800万円なのに貯金ゼロ」 40代独身貴族の言い訳

提供:PRESIDENT Online
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 年収は約800万円、月収は手取りで38万円という40歳の独身男性。でも毎月の貯蓄はほぼゼロ。その理由は、「食」への強いこだわりと、家計管理のずぼらさでした。ファイナンシャルプランナーの指導で支出を見直したところ、毎月8万6000円の支出減に成功しました。その一部始終をご紹介しましょう--。

 40代独身貴族「貯金0円」の理由は自分自身

 「年齢のわりに貯蓄が少ない気がして……」

 そう言って肩を落とすのは、会社員で独身男性のTさん(40)。今のところ結婚の予定はなく、老後も一人かなと思いながら40歳を迎えた時、友人に「俺たちも初老に入ったね」と言われ、ハッと「老後がまずいんじゃないか」と思ったそうです。

 Tさんの貯蓄額は230万円。急に不安になり、どうしたらよいかわからず、私のところへ相談にいらっしゃいました。

 現在はIT系の会社員ですが、向上心があり、昨年から通信制の大学院で心理学の勉強をされています。今後は心理系の職場への転職も考えているそうです。大学院は2年制で、卒業は来春。学費は年間100万円ほどで、貯蓄から支払っていたそうです。しかし貯蓄額が少ない原因は、それだけではありませんでした。話を聞いてみると、「普段の生活」から大きな問題があったのです。

 ▼貯金せず、38万円の手取り給料すべて使い果たす

 Tさんは、収入と支出をほとんど把握できていませんでした。毎月のやりくりは、好きなように使って、口座の残高が0円に近づいてきたら控えていくというやり方。イレギュラーな支出が多く、赤字になった時は、ボーナスで補填。借金をするわけでもなく、何とかやってこられたので、それでいいとずっと思ってきたといいます。

 これでは家計相談にならないため、通帳の記録やクレジットカードの明細などを見ながら、各費目の支出の見当をつけていきました。

 すると、毎月手取りで38万円ほどある収入が、給料日前までに数千円しか残らないという状況です。年収は800万円強。単身で家族にお金がかからない状況なのに、使い切ってしまう状態です。

 どのようにお金を使っているのか。じっくりうかがっていきました。

 こだわり食材購入に評判の飲食店巡り、月12万円超

 Tさんは料理好きです。そのため、食材や調味料にこだわります。研究熱心で、プロの味を知るため外食もよくします。美食家であることは悪くはありませんが、一人暮らしで食費が月7万3000円というのはいただけません。

 しかも、隠れた“食費”もあります。職場の同僚たちとも「おいしい」と評判の飲食店に行くのが好きで、交際費の4万8000円は丸ごとその飲食代に消えます。つまり、Tさんの食費は正確には月12万1000円という計算になります。あまりに多すぎます。

 他の支出項目もかなり高額でした。

 たとえば水道光熱費は1万8000円。日中は家にいないにもかかわらず、あまりにも高額です。Tさんはスーツやワイシャツなどはクリーニングを利用していますが、普段着や下着は自分で洗濯しています。その際、「干すのが面倒くさい」という理由で毎回乾燥機を使っているのです。どうやらそのために電気代が高額になっているようでした。

 ▼「何に使ったかわからない」使途不明金が毎月2万

 また通信費は、自宅のWi-Fiや固定電話などを含め1万7000円です。スマートフォンは「格安」タイプに変えたほうがコストは安いと承知していながら、これまた「手続きが面倒」でそのまま放置。契約内容を見直さず、大手キャリアの高額なプランを使っていました。月額2000円の使用料を払っている動画サイトも、「3カ月無料」という宣伝文句につられて契約しましたが、ほとんど見ていないそうです。

 さらに、バカにならないのが月8000円という生活日用品です。スキンケア、ヘアケア、体臭対策……。身だしなみにも十分に気を遣い、男性用の基礎化粧品なども愛用しています。新しい商品が出るとつい試してみたくなり、購入してしまうそうです。使い切らないままの商品がかなり残っていると予想できます。

 その他、どんなに考えても「何に使ったかわからないんですよね」という使途不明金が平均で毎月2万円もあることが判明しました。「どんぶり勘定」ゆえの自業自得ですが、毎年24万円の「使途不明金」というのは見過ごせません。

 こうしてお金の使い方を費目に分けて家計表にしていくと、Tさんは「こんな金額になるとは思わなかった。驚いた」と言いました。一度の買い物は数千円でも、回を重ねると大きな金額になることを意識していなかったようなのです。

 このままではいつまでも貯蓄額は増えません。また今後転職をして給与が下がれば暮らしが苦しくなるリスクもあります。そこで、支出削減の方法を相談しました。

 洗濯機「ドライコース」使用で1.6万円も節約

 まず食費です。外食を減らし自炊を心がけます。予算は1週間で1万4000円。1人だけの食費としては高いですが、どうしても「食材にはこだわりたい」とのことなので妥協しました。それでも、食費は月6万円弱におさまり、月1万5000円の節約になります。

 また交際費は半減を目標にしました。そのため同僚との付き合いの回数は、2回に1回というルールを決め、徹底しました。飲食店に行く回数が減ることで大学院の勉強をする時間が増え、節約と勉強の一挙両得になりました。

 洗濯も頑張りました。クリーニングを減らし、夜間に洗濯して、手で干すようにしました。仕事後の作業なので、はじめは負担に感じましたが、洗濯機の「ドライコース」を使えば、念入りなアイロンがけは不要な衣類も多く、慣れれば楽に洗濯できるようになったそうです。クリーニング代が浮き、月1万6000円の節約になりました。さらにクリーニング店に衣服を出したり受け取りに行ったりする時間も減りました。

 【家計費コストダウンランキング】

 1位:交際費 -2万5000円 

 職場関係者や大学院の友人と飲みに行くことが多かったが、お金のかかりすぎに気が付き、控えることに。

 2位:被服費 -1万6000円

 クリーニング代が多かったが、洗濯機のドライコースを試すことでコストダウン。

 3位:食費 -1万5000円

 料理好きで食材に強くこだわっていたが、できるだけ妥協し、外食も減らすようにした。

 3位:使途不明金 -1万5000円

 使途不明金をできるだけ出さないよう、できるだけ費目に振り分けていくように改善。

 5位:通信費 -8000円

 スマホをよく利用するので、格安スマホのうちパケット量の多い契約に変更。

 6位:水道光熱費 -3000円

 洗濯後、乾燥機を使用していたが、極力使用を控えるようにした。

 7位:生活日用品 -2000円

 男性用の基礎化粧品など新商品に飛びつきがちだったが、衝動買いをやめた。

 7位:その他 -2000円

 ほとんど見ていなかったインターネット動画サイトを解約。

 通信費も、格安スマホに変えることで月8000円も減りました。端末はそのまま使える状況だったので、SIMカードを入れ替えるだけ。使いやすさはほとんど変わりません。

 月8万6000円の支出減で年間100万円貯金可能に

 さらに、「基礎化粧品はしっかり使い切ってから買う」「見ていない動画サイトは解約する」といったことも速やかに実行。合計で月8万6000円の支出減ができました。このペースを継続できれば、毎月約9万円(年間100万円以上)を貯蓄していけることになります。お金の使い方が変わったことで、ボーナスの使い方も節度あるものになれば、ボーナスから貯蓄に上乗せすることも期待できます。

 Tさんはお金の使い方の見直しをして、満足している様子です。「支出を減らす」というと、とかく「我慢しなければならない」というイメージを抱きがちですが、Tさんの場合、見直しによって、お金以外にもプラスが増え、節約生活を継続するモチベーションになりました。

 Tさんは「もっと早く行動していればよかった」「面倒くさがるんじゃなかった」と振り返ります。いい意味で欲が出てきたからでしょうか、「次は、iDeCo(個人型確定拠出年金)や積み立てNISAに挑戦し、老後資金作りをしてみようかな」と言い、そのメリット・デメリットや投資の仕方などを勉強し始めているそうです。

 お金を貯められる体質になりたいと思う人は多いですが、思っているだけでは変わりません。本を読んで情報を集めても、それだけではなにも変わりません。良いと思ったことは行動してみる、これが一番大切なことなのです。

 (家計再生コンサルタント、マイエフピー代表取締役、ファイナンシャルプランナー