がんばれ小さな赤ちゃん 低出生体重児向け母子手帳、おむつ

 
低出生体重児向けの母子手帳

 早産などで小さく生まれた赤ちゃんと母親のために、自治体が専用の母子手帳を作成する動きが本格化してきた。標準的な体重の赤ちゃんとは成育状況が違うため、子育てに戸惑い、不安を感じる母親も多い。ぴったりサイズのおむつも発売されるなど、成長を温かく見守るための支援が広がりつつある。

 ◆記録欄0キロから

 「お乳をよく飲みますか」「裸にすると手足をよく動かしますか」

 静岡市の富田友里子さん(29)は、母子健康手帳の1カ月時の記録欄に「いいえ」しか記入できないことに落ち込んだ。

 長女(4)は妊娠7カ月目に946グラムで生まれた。自分を責めてしまう時、励まされたのが地元の親の会が作成した「リトルベビーハンドブック」という小さな赤ちゃんと母親のための母子手帳。

 母親の経験談などが紹介され、読むと前向きな気持ちになれた。通常の母子手帳の記録欄では、誕生時の体重が「1キロ」からで書き込めなかったが、この手帳の目盛りは0から。「いいえ」欄がなく、できた時に記入できる様式にもほっとした。

 ◆母親目線を大事に

 出生時の体重が2500グラム未満の赤ちゃんは「低出生体重児」と呼ばれる。厚生労働省によると増加傾向で、近年は横ばいだが、全出生数の1割前後を占める。女性の痩せ志向や、出産年齢の高齢化が背景とみられる。このうち1500グラム未満は極低出生体重児、千グラム未満は超低出生体重児とされる。

 こうした赤ちゃんの増加を受け、静岡県は来年度の配布を目指し、専用の母子手帳を作成する。当事者が参加する検討会を開き、内容を検討中だ。

 リトルベビーハンドブックを作成した小さな赤ちゃんの親でつくる「ポコアポコ」(静岡市)の小林さとみさん(50)は「子供の成長の記録だが、不安を抱える母親目線が大事」と語る。

 同様の手帳は名古屋市が作成に向けて準備を開始。熊本県も手帳の配布のほか、自宅への保健師派遣など手厚い支援制度を整えている。

 ◆ぴったりサイズ

 一方、こうした赤ちゃんのために、体重800グラム未満向けのおむつも今年4月に発売された。医療機関向けで、販売するプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G、神戸市)によると「ニーズは増えており社会貢献も目的」。看護師から「ぶかぶかのおむつにショックを受けるお母さんもおり、精神的な支えになる」といった声も聞かれる。

 医療面の継続したケアも欠かせない。長野県立こども病院(安曇野市)も、手帳配布のほか、県内の医療機関と連携するネットワークづくりに力を入れている。

 広間武彦新生児科部長は「医療の進歩で自宅に帰って生活する超低出生体重児は今後も増えていく可能性が高い。退院後も長期的に成育状況を見て、早めに対応できる態勢をつくる必要がある」と指摘。子供にかかりきりになりがちな母親には「自分の生活を大切にすることも忘れないで」と呼び掛けている。

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【用語解説】母子健康手帳

 母親の妊娠、出産の経過、乳幼児期の健診結果や身長、体重、予防接種の記録といった重要な健康情報を一冊で管理する。昭和17年の妊産婦手帳以来の長い歴史があり、41年の母子保健法の施行に伴い、母子健康手帳となった。居住している市区町村に「妊娠届出書」を提出すれば、支給される。全国共通の部分と市区町村が任意に決められる部分がある。