「インスタ映え」する虹色の結晶を100円ショップのレンズで トレンド入りした「霜活」とは?

 
氷結水滴では、溶けつつある結晶に太陽光が当たり、虹色に光っている(荒木健太郎さん提供)

 少し早起きして、「インスタ映え」する霜の写真を集めて歩く-。朝晩の気温が氷点下を記録するようになり、県内は本格的な冬を迎えた。そんな厳しい寒さを楽しい時間に変える「霜活」に入れ込む人が増えている。雲の専門家で気象庁気象研究所の荒木健太郎研究官(33)が、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で活動を呼びかけたところ、自然が織りなす造形美に魅了されて火が付いたようだ。(三宅真太郎、写真も)

 ■「シンデレラタイム」

 12月中旬の朝6時半ごろ。長野市の城山公園では夜明けとともに、太陽の光で植物や芝生が輝き出した。荒木さんおすすめの「シンデレラタイム」の始まりだ。結晶が溶け切るまでの数分間しかない。

 植物から出た過剰な水分が球状に氷った氷結水滴は、太陽の光を受けて溶け始める。同時に光が中を通って屈折するので、虹色に光る現象も起きた。「氷の宝石」を目の当たりにできる瞬間だ。

 「霜活」に必要なのは、スマートフォンと100円ショップで購入できる「マクロレンズ」。マクロレンズがあれば、直径数ミリ程度の霜でも鮮明に写せる。

 マクロレンズで神秘的なそのさまをしっかりと撮影した。「いつまでもその造形をとどめず、むなしく溶けてしまう。美しさと切なさが胸に焼き付くでしょ」。荒木さんからそう声をかけられ、しみじみとそう感じた。

 「インスタ映え」を求めて朝早くから「霜活」する人も、こんな寂寥感を共感しているのではないか。

 ■「やめられない」

 霜は、空気中の水蒸気が凍ってできる氷の結晶。荒木さんによると、霜の出現に最適な環境は、晴天だった夜間の翌朝。雲がないことで、地面の温度が冷える「放射冷却」現象が強まるため気温が低くなり、霜が発生しやすくなるという。

 霜は大きく分けて「うろこ状」「はり状」「はね状」「せんす状」の4種類に分類できるといい、大きいものは数ミリ程度。小さいと1ミリ以下のものもあり、気温や水蒸気の量など気象条件によって形状が変わるそうだ。

 長野などの寒冷地だと11~3月ごろに見られ、首都圏などでは12~2月ごろに楽しめる。

 「霜活」は、12月に入ってから短文投稿サイト「ツイッター」で検索数が急激に増える「トレンド入り」をするなど、広がりをみせている。

 研究者の荒木さんが雪の結晶を研究するため、写真をスマホで撮ってもらう「関東雪結晶プロジェクト」を始めたことがきっかけだった。

 撮影のコツをつかめるようにと、出現頻度の高い霜の結晶(雪結晶と同程度のサイズ)を対象に撮影を呼びかけたところ、反響を呼んだ。

 荒木さんは「『霜活』では簡単に、自然科学と触れ合うことができる。一度始めたらやめられませんよ」と話している。